ELECTRIC LOCOMOTIVE EF58 塗装バリエーション

Last Update 2017.9.1
 
EF58は国鉄の電化進展と共に増備され、蒸気機関車の煤煙による車体の汚れを考慮する必要が薄れたため、それまでの電気機関車の茶色1色(ぶどう色1号・2号)の塗装から、思い切った試験塗装が施されています。これらの試験塗装機はその後3年ほどで標準色のぶどう色1号、または2号に塗り替えられましたが、この結果が東海道全線電化(昭和31年)における特急塗装として華を開きました。ここでは、EF58の塗装バリエーションを紹介したいと思います。イラストをクリックすると大きなものが表示されます。

 EF58 31(試験塗装)
EF5831
特徴:
昭和29年1月に東芝で改装された試験塗装の第1号。車体の色はベースが当時の気動車標準色(腰回り部分)だった青3号に、車体裾のスカートとパンタグラフの台座が黄かん色(湘南色の窓周り部分と同じ)で、足周りが薄灰色です。写真を見ると、避雷器(LS12A)も淡緑色に塗られているようです。形態的には大窓原形スタイルで、水切り、誘導握り棒、誘導踏み段、前面手すり、信号炎管などが未取付、前灯は150wのLP400で、SG排煙口も原形のガーランド形のすっきりした姿。水切りの取付準備工事がされているのが珍しいです。
 EF58 16(試験塗装) NEW
EF5816
特徴:
昭和29年3月に川車・川重で改装された試験塗装の第2号。車体は31号機と同じくベースが青3号ですが、車体裾周りに黄1号の帯、足周りが薄灰色です。黄1号の帯は、前面の飾り帯部分で下に落とし込まれています。形態的には31号機同様、大窓原形、水切り、誘導握り棒、誘導踏み段、前面手すり、信号炎管などが未取付、前灯LP400、SG排煙口がガーランド形で、やはり水切りの取付準備工事がされています。なお、本機の屋根上抵抗器室カバーの1エンド側は2エンド側と同じ小さな物になっていますが川崎製造の車体の特徴です。(本機の車体改装は川崎)
 EF58 18(試験塗装)
EF5818
特徴:
昭和29年8月に三電・新三電で改装された試験塗装の第3号。塗装は16号機とほぼ同じですが、車体裾周りの帯が若干太く、前面の飾り帯部分もそのまま直線になっています。形態的には大窓原形で水切りが付きましたが、誘導握り棒、誘導踏み段、前面手すり、信号炎管などが未取付、前灯LP400、SG排煙口が原形のガーランド形です。また、同機は三菱電機・新三菱重工で最初の新EF58で、前面窓の下部の角も上部と同じくRの付いたもので、さらに先台車の端バリも旧EF58形と同一の変形機でした。
 EF58 4(試験塗装)
特徴:
試験塗装の最後にふさわしい昭和30年3月に東芝で改装された4号機。フランス電機を範にしたと言うその塗装は今見ても新鮮です。塗装は車体が淡緑3号に緑2号のツートンカラーにクリーム2号の帯の他、側扉の下方の足掛け用の欠き取り部、乗務員用梯子もクリーム2号、足周りが薄灰色をベースに前端バリ、連結器解放テコが帯と同じクリーム2号と言う念の入りようです。形態的には小窓で水切りが付き、前灯がLP402形となりランプケースが大形になりましたが、誘導握り棒、誘導踏み段、前面手すり、信号炎管などは未取付、SG排煙口が原形のガーランド形です。また、同機は元々日立製のため先台車の先輪覆いは日立初期車の一体形ですが、車体は東芝製で枕バリは逆台形、飾り帯の継ぎ目はくの字形です。
 EF58 47(特急塗装)
特徴:
昭和31年11月の東海道前線電化で特急「つばめ」「はと」も無煙化され、その牽引に当たる東京区と宮原区のEF58には客車と同色の特別塗装が施されました。塗り分けは試験塗装の4号機のものをイメージしたものとなり、車体のベースが4号機より若干濃い淡緑5号に黄1号の帯、下回りは登場当時は濃緑色(緑3号)で後に黒色に変更されました。黄1号の帯は前面の飾り帯の合わせ部分で下に落とし込まれています。また、側面の昇降手すりは下まで淡緑5号で塗られたもの、黄1号の帯が入った物がありました。この塗装になった物は37,38,41,44,45,46,47,49,52,55,57,58,59,63,64,66,68,70,86,89,90,95,99,100,140号機の25両でした。
この47号機は大窓機編でも紹介しましたが、この段階では前灯がLP400形、前面手すり、信号炎管などが未取付ですが、誘導握り棒が付けられ、SG排煙口もSG1A形の大形の物になっています。
 EF58 138(ブルートレイン塗装)

特徴:
昭和35年10月の改正で「はやぶさ」も20系化されることになり、その際、直流電化区間は電動発電機(MG)を使用し非電化区間ではディーゼル発電器(DG)を使用する新しい電源車カニ22が登場しました。同車はMG使用中は機関車から完全遠隔制御が可能で、その牽引に当たる東京区と宮原区のEF58に電源車制御装置が装備されることになり、KE59ジャンパ連結器が前端バリの機関士側に付けられました。同時に塗装も20系客車に合わせたものになりました。塗り分けは車体のベースが青15号、裾の帯がクリーム1号で、下回りは登場当時は灰色2号でしたが後に黒色に改められました。クリーム1号の帯は青大将塗装と同じく前面の飾り帯の合わせ部分で下に落とし込まれています。また、側面の昇降手すりは青15号一色で塗られたもの、クリーム1号の帯が入ったものがありました。この塗装になった物は

東京区:92,114,115,116,117,119,122,123,124,154号機
宮原区:97,101,128,138,139,142,143,144,148,149号機

の合計20両でした。この138号機は、ワイパーが腕折り式のKW3D、パンタグラフがPS15、ナンバープレートが切り抜き式、モニタールーフ小窓がHゴム支持になっています。また、この頃は前面手すり、前面ステップ及び信号炎管が未取付で列車無線連結栓を装備、避雷器は通称亀の子形と呼ばれるスマートなLA13でした。



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