ELECTRIC LOCOMOTIVE EF58 形態バリエーション(上越形)

Last Update 2017.9.1
 
上越線とEF58との関係は古く、流線形の新EF58が初めて配置されたのも高崎と長岡の2区でした。この2区に配置されたゴハチには冬季の使用に備えてつらら切り、汽笛カバーが取り付けられました。また、昭和35年から標識灯掛けが前端バリ上のステー状のものに交換されています。その後、原形の可動式雪かき器が保守に手間取ることや昭和47年より始められた電暖改造の際、雪かき器が電暖のジャンパや20系客車の牽引に支障する事が分かり、小形の固定式雪かき器に交換されることになりました。また、同時に誘導握り棒の取り付け位置の変更も行われ、特徴ある上越形が誕生しました。
つらら切りに小振りな雪かき器の完成された上越形の精悍な姿は暖地形のゴハチとは別物と言っていい魅力あがありました。同タイプの総数は27両でした。なお、積雪地域を走行するゴハチのエアフィルタは雪の目詰まりを懸念して原形の鎧戸タイプとなっていました。また、全機前面窓はHゴム支持化されています。説明の色の付いたところをクリックすると詳細が見られます。イラストをクリックすると大きなものが表示されます。

 EF58 35〔長岡(転)〕 側窓変形 P形機
流線型EF58の第1号機で側窓変形機。上越形の最若番  写真を見る

特徴:
記念すべき新EF58の製造第1号機で36号機と共に旧EF58の車体に流線形の運転室を溶接して誕生した変形機。側窓変形が有名ですが、それ以外にも様々な特徴があります。
屋根上の抵抗器室カバーが1・2エンド側共同じ大きさでモニタールーフの大きさも標準よりも若干小さくなっています。側扉は旧EF58の正面扉、枕バリの端面形状は東芝製EF58,EF15の標準の逆台形ではなく旧EF58の四角いタイプです。前端バリは元々旧EF58の幅狭のものでしたが、雪かき器の固定化に際し標準の物に交換されています。側扉下側には手掛けが付けられています。側扉横の手すりは昭和47年の御召し予備機整備に伴い短縮されていますが、他の短いタイプよりさらに短いもの。また、前面に国旗掲揚装置の取り付けボルトが残っています。前灯のケースはLP402用に大形化され、そのすぐ後ろに避雷器が置かれているのが独特です。運転室側窓、及び開閉可能な機械室側窓はアルミサッシ化され、窓枠の太い独特の形状になっており、サイドの印象も36号機とは少々異なっています。前端バリに移設された標識灯掛けは下部がテーパー状に太くなったタイプ、電暖表示灯は後期の電球を内側から交換するタイプ、ワイパーは機関士側がWP50、助士側が原形のKW3Dです。20系「北陸」牽引のため、昭和50年にP形化されています。それにしても、車体長は他機と変わらないのに、この窓配置だと車体がより長く見えるから不思議です。

 EF58 59〔高崎第二〕 更新改造
ユニークな上向きのつらら切り。上越形の更新改造機  写真を見る

特徴:
上向きのつらら切りが独特の表情です。汽笛カバーはわずか4両という貴重な(?)小形のタイプです。(他に49,50,51)電暖改造にP形改造でとてもにぎやかな前端バリです。前面窓は黒Hゴムに雪国らしくデフロスタを装備。(上越形前面)電暖は暖地形とはジャンパ栓の取り付け位置が若干異なります。雪かき器の固定化で誘導踏み段も前端バリに取り付けられましたが、改装機とは異なる2段式のものです。側面を見ると誘導握り棒の移設が目立ちます。本機は昭和28年の新製配置から昭和38年まで東京区に所属し、青大将塗装で「つばめ」「はと」も牽引しました。その際に取り付けられたHM取付座が上越形としては珍しいです。高崎第二区に転属後、大窓の小窓化を経て昭和45年にはHゴム窓に改造されています。枕バリの端面形状は東芝標準の逆台形です。上越形の側面エアフィルタは雪の目詰まりを防止する目的で、原形のよろい戸タイプのままとなっています。側扉横の昇降手すりは原形の長いもの。電暖表示灯は初期の外側から電球を交換するタイプです。昭和48年に大宮工場にて更新改造が行われ、標識灯が新形電機に見られる外蓋式の大形の物に、ワイパーも左右ともWP50、側扉もFRP製の物になっています。上越形の更新改造機は新形機っぽいイメージでなかなか似合っています。

 EF58 110〔長岡(転)〕 P形機 NEW
20系「北陸」を牽いた上越のP形機  写真を見る

特徴:
水平のつらら切りに大形の汽笛カバーと小形の雪かき器姿が精悍です。上越形は同じEF58でも東海道筋の物とは全く違う魅力を備えています。本機も電暖改造にP形改造が行われています。パンタは新製時からPS15。枕バリの端面形状は川崎車輌・川崎重工製の標準の逆台形です。屋根上の抵抗器室カバーの1エンド側が2エンド側と同じ小さな物になっていますが川崎製造の車体の特徴です。側面エアフィルタは当然原形す。側扉は下側に手掛けが付けられています。側扉横の手すりは登場時より短いタイプ。電暖表示灯は後期の電球を内側から交換するタイプです。

 EF58 131〔高崎第二〕
PS15パンタ装備の標準的な上越形   写真を見る

特徴:
下向きのつらら切りに大形の汽笛カバー、上越形特有の小形の雪かき器が精悍です。
同機は第11次増備車にあたり、屋根上のモニタールーフの小窓がHゴム支持となっています。パンタは新製当初からPS15。枕バリの端面形状は日本車輌・富士電機製EF58,EF15の標準の逆台形です。側面エアフィルタは原形です。側扉の下側には改造で開閉用の手掛けが付けられています。側扉横の手すりは登場時より短いタイプ。電暖表示灯は初期の電球を外側から交換するタイプとなっていました。本機のように上越形の一部のものは前灯と避雷器の間に常磐線列車無線を装備しています。

 EF58 175〔高崎第二〕 SG時代
電暖改造前の上越形。EF58ラストナンバー  写真を見る(撮影:T.Fさん)

特徴:
上越形は昭和47年から50年までに全機が電暖化されていますが、それまでは一般機と同じくSG(蒸気発生装置)を使用していました。電暖改造前は比較的すっきりとした前面周りですが、それでも固定式雪かき器取付ステイなどたくましい印象です。電暖機とは水タンクの蓋、避雷器の位置など屋根上も色々異なっています(と言うよりこちらが原形)。パンタは新製時からPS15。同機は三菱電機・新三菱重工製で枕バリの端面形状は逆台形ですが、飾り帯のつなぎ目は日立製と同じく直線タイプとなっています。側面エアフィルタは原型で、側扉の手掛けが取付けられています。なお、同機はEF58の製造最終グループですが、三菱電機・新三菱重工ではHゴム窓機を製造していなかった為かパテ式の前面窓、機械室中央窓で落成しています。その為、後年に前面窓のHゴム支持化はされましたが側窓中央はパテ式のままです。この段階では同機のワイパーは機関士側がWP35、助士側が原形のKW3Dの腕折れ式となっています。



Back ●大窓機 ●60・61号機 ●原形小窓機 ●Hゴム窓機 ●塗装バリエーション