ELECTRIC LOCOMOTIVE EF15  Vol.2
EF15 16〜23

Last Update 2022.1.1

Index EF1516 (EF1620) EF1517 (EF1621) EF1518 (EF1623) EF1519 (EF1622)
EF1520 EF1521 EF1522 (EF1611) EF1523 (EF1612)

 第1次形(1〜8,16〜33号機) その2
 
*16〜19、22〜28、31〜33号機はEF16形 *9〜11号機は2次形、12〜15号機は3次形

昭和22年5月〜23年3月に登場した第1次グループの続きです。ここでは川崎製の16〜23号機を紹介します。 
 川崎製(16〜23号機)

川崎製1次形は通常、正面扉の向かって左側に付く屋根昇降段が正面扉の両側に二組付いている点が外観の大きな特徴です。また、前端バリ横のブレーキ管の配管方法にも特徴があり、1次形の日立、三菱製やその後の標準タイプと異なり、前端バリの上面、デッキ下を通り上から補助コイル前部に』形に降りてきて連結器脇に至っています。(1次形形態解説参照デッキ形状は日立、三菱と異なり後の標準タイプに最も近くがっちりしたものとなっています。

16号機〜19号機(昭和22年10月落成)がエアフィルタが大きく高い断面の車体で、20〜23号機はエアフィルタが小さく低い断面の車体となっています。なお、21号機1エンドデッキが1次形日立タイプとなっていますが、これは2号機(日立)の同箇所と入れ替わっている為と思われます。また、本グループの17,19〜22号機が屋根上にグローブベンチレータを取り付けていますが、これは製造時からのものではなく、機械室中央窓の増設やパンタグラフのPS14化などと同様、昭和23年の整備改造時に取り付けられたもので、なぜ川崎製に偏ったのかその理由は不明です。(整備改造は川崎以外の日立でも担当しています。)

20〜23が昭和26年に福米EF16に、16〜19が昭和30年から31年に上越EF16にそれぞれ改造されましたが、後に20,21号機はEF15に復元、22,23号機は上越EF16に再改造されています。
前燈の取付台座は19,21,22号機がステー式、他は原形のLP42用となっています。

※印…主な特徴です。画像をクリックすると大きなものが表示されます。
注:履歴の記事中の各項目は工場出場日。そのためEF16改造日とずれているものがあります。

 EF15 16=EF16 20〔水上〕

EF1620
上越用EF16のトップナンバーとなった川崎製1号機の16号機。上越用EF16は昭和55年10月、EF64 1000置き換えられるまで峠のシェルパとして黙々と働きました。正面扉横の昇降段が扉の両側に付いていますが、これは川崎製EF15 1次形の特徴です。第1・第5側窓は中央寄りでエアフィルタは大きいサイズです。また、車体断面は日立製が全機低くなって登場しているのに対し本機では高くなっています。
 
※車体断面高 正面扉左右に昇降段 第1・第5側窓内寄り エアフィルタ大 前燈取付位置原形 前燈小
6760レ  EF1620+EF15128 石打 1980.8.2
製造:S22.7.16
川崎車輌 No.131
EF16改造:S30.12.24
国鉄大宮工場
廃車:S57.2.27

移動:
S22.8.5   高崎第二
S22.8.27   長岡第二
S30.12.26 水上
S57.2.27  工車1209号により廃車

記事:
●S30.12.24 大宮:
EF16改造
EF1620+EF15175 同機の2エンド側。後ろに続く標準形の175号機と比べると車体高さや側窓の数、屋根上のモニタの有無など、その差異が良く分かります。
781レ(おそらく)  水上 1980.5.3
EF1620 上越用EF16となったグループは、奥羽線に行った物ほどの寒冷地対策は行われず、正面扉窓の固定化も行われていません。その為、通風口も未取付なので1次形の外観が良く保たれていました。また、埋込式に改造された標識燈の取付位置は、福米形などとは異なり標準位置となっています。 なお、手前の1エンドR側の前端梁側面にペンキ書きで小さく「16」と記入されていますが、もしかしてEF1516の意でしょうか?
781レ(おそらく)  水上 1980.5.3
 EF15 17=EF16 21〔水上〕
800803-ef1621-2 16号機と同じく車体断面が高く、エアフィルタの大きな17号機。落成当初の1次形には抵抗器室上のベンチレータが付けられておらず、その後の整備改造で側窓中央の増設などと共に取り付けられています。本機は当時国電に使用され始めたグローブ式となっています。

※車体断面高 正面扉左右に昇降段 グローブベンチレータ 第1・第5側窓内寄り エアフィルタ大 前燈取付位置原形 前燈小?
802レ「天の川」  石打 1980.8.3
製造:S22.8.18
川崎車輌 No.132
EF16改造:S31.2.20
国鉄大宮工場
廃車:S56.12.12

移動:
S22.8.18  長岡第二
S31.2.21  水上
S56.12.12  廃車

記事:
●S31.2.20 大宮:
EF16改造
ef5853-EF1621 同機の前燈も原形のLP42と同じ位置です。グローブ式ベンチレータを取り付けた物はEF1517,19,20,21,22号機の5両で、17,22号機を除き昭和23年9月に日立と川崎で整備改造を受けた記録があり、おそらくこの時期に整備改造を受けたEF15に対して試験的にグローブベンチレータの取付が行われたのではないかと思われます。
撮影:EF5853さん  6765レ 水上 1980.8.26
hasekasuga-ef1621 水上機関区でお休み中の同機。運転席側窓の水切りの側面下方で角度が付いていますが、EF15一次形落成時はこの部分までしか水切りが無かったのを延長してできたもので、一次形全機が同様に延長されています。
撮影:初瀬春日さんがたごと列車)  水上機関区 1978.8.17
 EF15 18=EF16 23〔水上〕
EF1623 同じく車体断面が高く、エアフィルタの大きな18号機。本機は増設された抵抗器室上のベンチレータが通常のガーランド式となっています。こちらは2エンド側。

※車体断面高 正面扉左右に昇降段 第1・第5側窓内寄り エアフィルタ大 前燈取付位置原形 前燈大 避雷器中央取付
水上機関区 1980.5.3
製造:S22.9.21
川崎車輌 No.133
EF16改造:S31.2.11
国鉄大宮工場
廃車:S55.9.11

移動:
S22.9.23 長岡第二
S32.2.12 水上
S55.9.11 廃車

記事:
●S32.2.11 大宮:
EF16改造
ef1623f こちらは1エンド側です。車体断面が高いので、なんとなく顔が面長な印象です。良く見ると後ろの標準形77号機と比べて車体が高い事が伺えます。 
770レ  石打 1980.8.2
7次形EF15 77(右)とがっちりと手を組んで峠越えに挑みます。本機は前燈の取付方法が原形のLP42と同じで、前燈前面が車体前面とほぼツライチになっています。その為、大型のLP402のランプケースの干渉を避けて、避雷器が抵抗器室の後方、車体中央部寄りに取り付けられています。
770レ  石打 1980.8.2
 EF15 19=EF16 22〔水上〕

ef5853-EF1622

同じく車体断面が高く、エアフィルタの大きな19号機。本機は抵抗器室上のベンチレータが21号機と同じくグローブ式となっています。これがどういう経緯で5両のEF15に採用されたかは今となっては定かではありませんが、その後の電気機関車に採用するか試験的な意味合いで取付が行われたのではないかと思われます。
ちなみに対象になったEF1517,19,20,21,22号機は、17号機と22号機を除き全て昭和23年9月に日立と川崎で整備改造を受けた記録があります。グローブベンチレータ取付が川崎製に偏ったのは偶然でしょうか。もしかしたら落成時から取り付けられていた可能性も高いかも知れません。
なお、このEF15整備改造は記録に残っている限り、製造メーカーに関係なく行われたようで、本機も昭和23年に日立で同改造を受けています。
また、履歴記事のS23.7.27〜9.6に寒冷地対策・砂箱増設・汽笛増設の項目があるのが目を引きます。本機も福米形に準じた姿の時代があったのか気になるところです。

※車体断面高 正面扉左右に昇降段 グローブベンチレータ 第1・第5側窓内寄り エアフィルタ大 前燈大
撮影:EF5853さん  673レ  水上 1979.8.8
製造:S22.10.18
川崎車輌 No.134
使用開始:S22.11.8
EF16改造:S31.3.29
国鉄大宮工場
廃車:S55.5.29

移動:
S22.10.23 長岡第二
S31.3.30  水上
S55.3.12  1休指定
S55.5.29  工車142号により廃車
最終走行:
S55.3 2,404,888km

記事:
●S23.7.27〜9.6 日立:
整備改造・寒冷地対策・砂箱増設・汽笛増設
●S24.12.16:パンタグラフPS14に取替
●S28.10.10〜10.21 大宮甲修:屋根雨樋取付
●S31.3.22〜3.29 大宮甲修:自動窓拭器取付・標識燈埋込改造・前燈整備
●S36.10.26〜11.7 大宮臨修:デフロスター取付・ブレーキEL6A→EL14AS改造
●S43.12.19 大宮臨検(出張):先輪軸受コロ式に改造
●S47.2.8〜2.18 大宮全検:避雷器LA15に取替
●S49.2.13〜2.21 大宮要検:昇降段改造 
EF1622 こちらは2エンド側です。本機の避雷器はこの2エンド側はパンタグラフ後ろ、1エンド側は前燈のすぐ後ろに取り付けられているようです。また、前燈取付方法は一般的な1本の細いステー上に取付座が付いたもの。
水上機関区 1980.2.17
hasekasuga-ef1622 これも2エンド側。水上機関区庫内で憩う29号機と22号機。 共に種車はEF15一次形の車体断面の高い車ですが、左の三菱製の29号機と川崎製の本機では正面屋根昇降段やデッキ形状、運転席側窓の水切り形状が異なっています。
撮影:初瀬春日さんがたごと列車)  水上機関区 1978.8.17
 EF15 20〔長岡(転)〕 EF15 20→EF16 9→EF15 20

nishino-EF1520

福米EF16から復元の20号機でこちらもグローブベンチレータを付けています。本機から川崎製1次形も車体断面が低くなりエアフィルタが小さなタイプになっています。第1・第5側窓は中央寄りです。ちなみにこちらが1エンド側です。

車体断面が小さくなった影響で、前面の昇降段の取付位置がその分(100mm)だけ上にずれており、同様に正面ナンバープレートも上にずれていて、前面窓との間隔が異様に狭くなっています。 

本機の履歴には6号機同様、多くの改造項目が記載されています。目を引くのは昭和26年の雨樋取付でしょうか。1次形は全機落成当初雨樋が未取付だった為に行われたもので、履歴に記載はされてない他の1次形も同様の工事が行われています。
 
それにしてもサイド気味に見た福米形は実に精悍です。
 
※福米形 車体断面低 正面扉左右に昇降段 グローブベンチレータ エアフィルタ小 第1・第5側窓中央 正面扉横手すり 標識燈外寄り 前燈小 正面ナンバープレート位置上寄り

撮影:Y.NishinoさんY.Nishinoのホームページ)  長岡 1973.8.19
製造:S22.11.20
川崎車輌 No.135
使用開始:S22.12.5
EF16改造:S26.9.28
東京芝浦電気
復元:S42.11 大宮工場
廃車:S53.10.20

移動:
S22.11.28  長岡第二
S24.4.18   福島第二
S40.10.1   長岡第二
S53.7.5   1休指定
S53.10.20  廃車
最終走行:
S53.7 2,413,159km

記事:
●S23.5.6〜9.19 川崎(改造製番No.2):
整備改造
●S24.3.3〜3.27 日立:寒冷地対策・砂箱増設・汽笛増設
●S25.8.2〜8.12 大宮丙修:レール撒水装置取付
●S26.11.20〜11.29 大宮甲修:雨樋取付
●S30.11.10〜11.27 大宮甲修:避雷器箱鉄製に取替
●S34.10.12〜10.21 大宮甲修:自動窓拭器取付
●S35.8.30〜9.9 大宮臨修:ブレーキ装置EL6A→EL14ASに改造
●S41.11.2〜11.14 大宮甲修:水槽取外
●S45.7.1〜7.13 大宮全検:先輪軸受コロ式に改造
●S45.10.19〜10.25 長野臨検:電気式速度計取付
●S47.7.20〜8.1 大宮要検:避雷器LA15に取替
●S51.6.25〜7.7 大宮要検:昇降段改造
ohno-ef1520 2エンド側正面です。EF15一次形における車体断面の変更は車体そのものを変更するのではなく、単に車体台枠部分の厚さを100mm削ると言った豪快?なものでした。

そのせいか細かい擬装に関してはメーカによって解釈が異なっていたようで、昇降段の取付位置は日立、三菱が車体上部を基準にしているのに対し、川崎では車体下部を基準にしたため、正面扉や前面窓との位置関係が車体断面の高低で異なっています。その為、顔の表情が両車で微妙に違っています。
撮影:ohnoさん  大宮? 1977.9.25
二軸貨車を中心にした本線系の長大な貨物列車の先頭に立つ。これがEF15の最も「らしい」姿と言えましょう。このカットも2エンド側です。
撮影:佐々木さん  宮内付近(宮内―越後滝谷)  1978年?
 EF15 21〔甲府〕 EF15 21→EF16 10→EF15 21

EF1521
本機も福米EF16からの復元で、20号機同様、屋根上のベンチレータがグローブ式となっています。首都圏へ転属した福米形は、5号機などと同様スノウプロウと汽笛カバーは外されましたが、前面扉及び前灯上のつらら切りはそのままでした。エアフィルタは小さなタイプ、第1・第5側窓は中央寄りです。情けない写真は工事中の横浜駅横須賀線ホームを通過する新鶴見区時代の姿で、私が唯一撮影した福米EF15です。スジ的には荷32レ到着後なので850レっぽいのですが、新鶴見のEF15担当だったか疑問です。
 
※福米形 車体断面低 正面扉左右に昇降段 グローブベンチレータ エアフィルタ小 第1・第5側窓中央 正面扉横手すり 標識燈外寄り 前燈小 1エンド側日立タイプのデッキ 正面ナンバープレート位置上寄り
850レ?  横浜 1977.3.26
製造:S22.12.15
川崎車輌 No.136
使用開始:S23.1.24
EF16改造:S26.12.4*
東京芝浦電気
復元:S43.2.14 大宮工場
廃車:S55.7.10

移動:
S23.1.17  長岡第二
S24.4.14  福島第二
S40.9.28  長岡第二
S46.3.28  新鶴見
S52.12.17  甲府
S55.7.10  工車898号により廃車

記事:
●S23.7.〜9.22 日立:
EF15整備改造
●S24.3.〜24.11 日立:パンタグラフPS14に取替
●S24.7.25〜8.5 大宮臨修:レール撒水装置取付
●S26.10.13〜12.7* 東芝:EF16改造
●S30.10.17〜10.25 大宮甲修:レール撒水装置改造
●S34.8.12〜9.22 大宮甲修:自動窓拭器取付・デフロスター取付・前燈整備・ブレーキ装置EL6A→EL14AS改造
●S41.10. 大宮全検:先輪軸受コロ式に改造・レール撒水装置取外

*履歴簿上は工場出場日はS26.12.7
suzuki-EF1521 本機も屋根上のベンチレータがグローブ式となっています。首都圏へ転属した福米形は、5号機などと同様スノウプロウと汽笛カバーは外されましたが、前面扉及び前灯上のつらら切りはそのままでした。エアフィルタは小さなタイプ、第1・第5側窓は中央寄りです。つらら切りは超小形。写真は新鶴見区時代。
撮影:鈴木さんRail Photo Gallery 途中下車)  目黒 1977.8.6
mattsun-EF1521 福米形の特徴が良く分かる写真です。なお、同機の1エンド側(写真のエンド)のデッキは、川崎製ながら日立の一次形タイプのデッキとなっています。2号機の欄でも述べましたが、日立製の2号機は1エンド側が川崎タイプとなっており、両機の1エンド側の台車がそっくり入れ替わっていると思われます。この両機は共に福島第二機関区に在籍しており、その期間に何らかの理由で台車が交換されたものと思われます。
撮影:まっつんさん  甲府機関区 撮影年月日不明
mattsun-EF1521b 21号機の第1エンド通風口は機関士側に標準の6段のみですが、取付位置はかなり低くなっています。
撮影:まっつんさん  甲府機関区 撮影年月日不明
Mr.slim-EF1521a 一次形の抵抗器室屋根上のベンチレータは新製当初付いていなかった物もその後の整備改造時に取り付けられています。そのうちグローブ式の物は17,19,20,21,22号機の5両で、なぜか川崎製のみとなっています。もしかしたら製造時から取り付けられたのかも知れません。こちらはMr.スリムさんが「(おそらく)会津若松のC11を撮影に行った帰りに東京近郊の駅で途中下車をしながら写した」ものだそうです。武州・大宮人さんによると茅ヶ崎駅の東海道線上りホーム(当時は3番線、いまは5番線)からの撮影したものとのことです。
撮影:Mr.スリムさんMr.スリムの道楽部屋  茅ヶ崎 1974.5.6?
Mr.slim-EF1521b 同じくMr.スリムさん撮影の21号機。ホームに立つ女性の姿に時代を感じますね。(^_^;)
撮影:Mr.スリムさんMr.スリムの道楽部屋  撮影地不明 1974.5.6?
takechanman-EF1521 こちらは2エンド側です。正面の通風口は左右共に6段で1エンド側と同様、低い位置に付いています。晩年の甲府時代の姿。
撮影:タケチャンマンさん  身延 1978年頃
ohno-ef1521 こちらは新鶴見区時代です。
「根岸線定番の桜木町です。1次型が来ると何よりもうれしかったですねえ。当時新鶴見区には80両近い旧型機が配置されており、1次型5両(4、5、7、8、21)が当たる確率は低く、めったに会うことができませんでした。
この頃は東京区、高崎二区、新鶴見区、八王子区等で200両近い旧型電機がいて、首都圏にこれだけの数が集結していること事態今考えると不思議な感じがします。」(ohnoさん)
撮影:ohnoさん  桜木町 1977.2.18
BIN-EF1521 これも新鶴見時代の同機で1エンド側です。カラーで撮られた綺麗な姿が印象的です。BINさんが同地点で撮影した同じ福米形7号機の写真と比べると川崎製と日立製の一次形の違いが良く分かります。なお、上述のとおり本機の1エンド側の足回りは日立製の2号機と入れ替わっている可能性が高く、デッキ形状や前端梁のブレーキ管の取り回しが日立製一次形と同一となっています。 その為、デッキ手すり取付部の前位、後位共に水かき状の補強が見受けられます。
撮影:BINさん  279レ  入江 1977.12.1
BIN-EF1521 上の写真と同地点で同アングルで撮られた同機の2エンド側です。見ての通りこちら側のデッキは川崎の一次形タイプです。福米形EF16に改造されたEF15でヒダ式の通風口が設けられた物は、何故か1エンドが機関士側のみ、2エンドが機関士側、助士側双方になっています。
撮影:BINさん  279レ  入江 1977.7.2
BIN-EF1521 同じく同機の2エンド側アップです。川崎の一次形タイプのデッキは日立、三菱に比べて後の標準タイプに最も近い形態です。もちろん、細部は異なりますが…。全検表記はS49.6大宮工です。 良く見ると砂箱の形が異なります。左側の小さいタイプが川崎製3次形まで見られるタイプで、右側は増設された物だと思われます。
撮影:BINさん  279レ  入江 1977.7.2
BIN-EF1521 R側の側面ナンバープレートと製造及び改造銘板です。本機のナンバープレートは数字の”1”部分が縦に長い独特の物です。
撮影:BINさん  279レ  入江 1977.7.2
BIN-EF1521 なかなか見られない1次形EF15の屋根上で、本機の特徴のグローブベンチレータが目立ちます。1次形本来は何もない屋根中央部にEF16改造時の水タンクの設置跡が見られます。また、新鶴見配置で取り外された汽笛カバーの設置跡も確認できます。屋根上の雨樋(と言うか単なる水切りですね)の端部は通常90度枕木方向に折れてますが、本機は一直線のままとなっています。
撮影:BINさん    新鶴見機関区 1977.9.25
BIN-EF1521 お馴染みBINさん撮影の1エンド側の白黒写真です。サイド寄りの撮影で抵抗器室屋根上のグローブベンチレータ良く見えますね。砂箱が1エンド側台車と2エンド側台車とで異なります。奥の2エンド側の大小混在が川崎製1次形の特徴です。
撮影:BINさん  269レ  入江 1977.2.19
BIN-EF1521 同じくBINさん撮影の1エンドL側です。1エンド側台車の砂箱の形状が初期の川崎製と事なり元々付いていた物も増設分と同じ標準タイプになっています。同様に2号機の同箇所の砂箱は大小混在となっていて、その点からもやはりこちら側の足回りは2号機と台車ごと入れ替わっている可能性が高いです。
撮影:BINさん  269レ  入江 1977.2.19
BIN-EF1521 同じく1エンドL側ですが、側面のスローガンを消した跡が何とも言えません。抵抗器室屋根上のグローブベンチレータの取付具合が良く分かります。
撮影:BINさん  279レ  入江 1977.10.26
BIN-EF1521 川崎タイプの1次形デッキと通風口が左右にある事から2エンド側と分かります。デッキの形状からか、同じ福米形でも川崎製の方ががっしりとした印象です。
撮影:BINさん  279レ  入江 1977.10.28
BIN-EF1521 こちらは1エンドR側です。こちら側の日立製デッキと2エンド側の川崎製デッキではデッキの形状が異なっています。同じ車体なので前面の昇降段の位置と比較すると両エンドで手すりの高さが随分と違うのが分かります。写真で1次形の手すりを色々と比較した結果、これは日立と川崎の初期デッキの差異と言うより、本機の2エンド手すりの高さが他の川崎製の手すりよりもかなり低くなっている為の様です。デッキステップとの接合部のヒレ状の補強も目を引きますね。
撮影:BINさん  279レ  入江 1977.8.10
 EF15 22=EF16 11〔水上〕

EF1611
福米を去った他の仲間がEF15に復元された中、同機と23号機のみEF16形のまま上越用EF16に混じって最後まで峠のシェルパとして活躍しました。とは言え水タンクや電気笛も取り外されており、外観は福米形EF15 と変わりません。同機も屋根上のベンチレータがグローブ式です。側窓の両端(第1・第5側窓)はかなり外側に寄っています。(エアフィルタ中央部上) また、エアフィルタは小さいタイプです。1エンド側の前面の通風口は機関士側のみ6段ヒダ、2エンド側は機関士側、機関助手席側の両方が6段ヒダとなっていますが、標識燈埋込前はおそらく8段ヒダだったと思われます。
 
※福米形 グローブベンチレータ 車体断面低 正面扉左右に昇降段 第1・第5側窓外寄り エアフィルタ小 正面扉横手すり 標識燈外寄り 前燈小 正面ナンバープレート位置上寄り
5670レ  石打 1980.8.2
製造:S23.2.10
川崎車輌 No137
EF16改造:S26.11.2
東京芝浦電気
廃車:

移動:
S23.2.29 高崎第二
S23.6.18 長岡第二
S24.4.22 福島第二
S40.10.2 長岡第二
S55.3.20 水上

記事:
●S26.11.2 東芝:
EF16改造
EF1611 EF15191と重連で上越国境を行く。福米形は標識灯の位置が通風口を避けて外側に付いており、低い車体断面と相まって正面から見ると精悍な面構えです。こちらは2エンド側で通風口が左右に付いています。なお、昭和40年代に長岡(転)区に配置されたEF15,16は正面扉の右側に手すりが増設されています。
791レ   越後中里―越後湯沢(岩原スキー場前) 1980.8.2
奥羽線時代の11号機が牽く客車列車。屋根上の電気笛、水タンクがいかめしいですね。原形の前面窓はHゴム改造後と比べて随分小さく見えますが、その為か晩年とは表情が少々異なります。EF16 Vol.1でも触れましたが、デッキ先端上部に置かれた箱状の物の用途、目的は不明です。

撮影:仙山仙石さん  上り普通  赤岩 1962.7.15
 EF15 23=EF16 12〔水上〕
EF1612 22号機と同じく福米EF16の生き残り。通風口は福米タイプが取り付けられています。このことから同機は昭和23年12月〜昭和24年2月にかけて寒冷地対策を受けたものと思われます。こちらは第1エンド側。
 
※福米形 車体断面低 正面扉左右に昇降段 蓋付き通風口 第1・第5側窓中央寄り エアフィルタ小 正面扉横手すり 前燈取付位置原形 前燈小 標識燈外寄り 正面ナンバープレート位置上寄り
3662レ  EF1612+EF6438 石打 1980.8.2
製造:S23.5.12
川崎車輌 No.138
EF16改造:S26.8.27
東京芝浦電気
廃車:S55.12.5

移動:
S23.5.18 国府津
S24.1.27 高崎第二
S24.3.22 福島第二
S40.9.26 長岡第二
S55.3.20 水上
S55.12.5 廃車

記事:
●S26.8.27 東芝:
EF16改造
EF1612 同じく1エンド側です。第1・第5側窓にかつて取り付けられていたタブレット保護柵の取付跡が残っています。
3662レ  EF1612+EF6438 石打 1980.8.2
EF1612 同じく1エンド側です。この1エンド側デッキステップ手すりのR側(向かって左側)は奥の手すりがなぜか日立の一次形タイプと同じ手すりになっており、手すりが平行になってません。同様に3号機の同部分が川崎の1次形タイプとなっており、おそらくは両機のこの部分が入れ替わっているものと思われます。
水上機関区 1980.2.17
EF1612 こちらは第2エンド側です。同機も22号機同様、正面扉の右側に手すりが増設されています。また、同機のLP402前燈も原形位置に取り付けられています。
水上機関区 1980.5.3

kagaku-gurafu20-ef1523

これは昭和24年(1949年)5月発行の「科学グラフ 20号」に掲載されたEF15時代の貴重な姿。こちらは1エンド側です。区名札がはっきり見えませんが同誌に掲載された下の写真などから高崎第二時代と思われます。20号機や21号機の履歴記事にある整備改造・寒冷地対策が本機にも福島転属に備えて既に施工され、福米タイプのつらら切り・通風口・側窓のタブレット保護柵の設置や電気笛・砂箱の増設が行なわれていますが屋根上の雨樋はまだ未取付です。前燈はLP42、標識燈は引っ掛け式で前面窓も原形、ワイパーはこれも原形の手動式で先輪はプレート式です。EF15初期の雪かき器はそのままではデッキステップと干渉する為、ネジで締結されたステップの最下段を取り外していましたが、この写真でそれが確認できます。 後年は上のEF16改造後の姿の様に、雪かき器のステップと干渉する上面端部を欠き取る事で対応した為、ステップ最下段は取り外さなくなっています。
自由出版株式会社刊「科学グラフ 20号」より   高崎第二機関区 1949年

kagaku-gurafu20-ef1523

同じく「科学グラフ20号」に掲載されたEF15時代の姿でこれも1エンド側です。背後にちらりと見える電機は窓配置などからEF12と思われ、この点から福島第二転属前の高二時代と言えます。撮影時期は雑誌の印刷日(昭和24年4月25日)と高二配置時期から昭和24年1月から3月の間で、場所は雑誌のあとがきから高崎第二機関区と思われます。
川崎製EF15の引っ掛け式標識燈は他社製と比べて高めに取り付けられています。EF15の1次・2次形の引っ掛け式標識燈の取付位置(高さ)は大きく分けて3種あり、本機の様な車体上方ナンバープレート下面近く(16,17,18,19,20,21,40などおそらく川崎製のみ)、車体下面近く(2,32,33など)、両者の中間位で最も標準的(4,7,8,9,10,11,24など)となっています。EF16改造前なので前端バリにはジャンパ栓受はありません。また、この段階では1エンド側デッキステップ手すりR側(向かって左側)の奥の手すりは川崎タイプのオリジナルです。3号機の日立タイプと入れ替わるのは、福島第二転属後で間違いないでしょう。雪かき器は上面端部に欠き取りが無く端まで直線状でこれが原形です。
「科学グラフ20号」の電気機関車特集ではEF58とEF15は国鉄の最新鋭機として紹介されています。敗戦からわずか4年後の出版で紙質が悪く印刷が不鮮明で変色も激しく、写真の状態はお世辞にも良いとは言えませんが、当時の電気機関車事情を知るには興味深い記事が数多く掲載されています。
自由出版株式会社刊「科学グラフ 20号」より   高崎第二機関区 1949年
Vol.3に続く

Back Next