ELECTRIC LOCOMOTIVE EF15
一次形 形態解説

Last Update 2015.6.18

未完です。(^_^;)随時更新していきたいと思います。

 概説

 EF15の一次形の車体は、戦後すぐに同時に設計が進められた旧EF58形と同じ特徴を持って落成しています。それは高速度遮断機の省略やパンタグラフのPS13に象徴されるように、資材不足から準戦時設計とも言える仕様でした。落成時の外観上の特徴は

  • モニタルーフ無し
  • 主抵抗器室の屋根部分の大きさが1エンド側と2エンド側で同じ
  • 主抵抗器室の通風口(ベンチレータ)無し(後に増設)
  • 機械室側窓は4枚で運転室直後の窓は固定式(後に引き戸に改造、中央に固定窓を1枚増設)
  • バネ上昇式のPS13パンタグラフ(全機PS14Aに換装)
  • 引っ掛け式標識灯(全機埋め込み式に改造)
  • 前面通風口無し(福米形EF16に改造されたものは正面扉窓の固定化に際し取付)
  • 砂箱の数が動軸1個に対して1個。(福米EF16に改造された物は2個に増設)
  • つらら切り無し(全機かどうか不明)
  • 車体断面が2次形以降と異なり、一次形内でも高低2種類存在する
  • エアフィルタが初期は大きく、途中から2次形以降と同じタイプ
  • 正面扉の窓が開閉可能(福米EF16に改造された物は固定化)
  • 正面扉横の昇降梯子が4段(後の標準タイプの5段の物とは取付位置も異なる)
  • 機関助士側の側窓が機関士側よりも小さく一枚窓の物(EF57などと同じタイプ)
  • 雨樋無し(後の装備改造で取り付け)
  • 運転室側窓の水切りが窓の下面まで達していない(後に延長。従来の部分と延長部分の角度が異なる)

と言ったもので、昭和22年〜23年にかけて登場しています。また、各メーカ毎に仕様が異なっていたり、同一メーカ内でも微妙に細かいパーツの形が異なるなど形態は様々です。

さて、これらの一次形は同時期に登場した旧EF58同様、様々なトラブルに見舞われ、昭和23年〜24年にかけて83項目にも及ぶ装備改造が行われ、本来の性能を発揮するようになりました。主な改造項目は以下の通りです。

  1. 高速度遮断機取り付け
  2. 抵抗器室に通風口取り付け
  3. 補機室固定窓(第1・第4側窓)を引き戸に改造。
  4. 車体中央に固定窓増設。(EF1526と31は未改造)
  5. パンタグラフをPS14に換装
  6. つらら切りの取り付け
  7. 砂箱移設。原形は全て動軸の前位側に取り付け。

 一次形は当初そのほとんどが上越地区に投入されましたが、昭和24年の奥羽本線の福島―米沢間直流電化に伴い一部が福島第二機関区へ転出、同区間専用として各種の耐寒耐雪装備が行われました。これらは上記の装備改造と同時に行われた物もあったようです。

  1. 正面扉と前照灯につらら切りを取り付け
  2. 正面扉の窓を固定化、同時に運転室内への通風口を設置。運転室暖房を4個に増強。
  3. 警笛の増設・移設(通常の空気笛位置にカバー付きのタイフォンを取り付け。空気笛に汽笛カバーを取り付け助士側屋根上に移設。)
  4. 砂箱を増設。砂撒き管にヒーター(150w×24個)を取り付け。それに伴い電動発電機(3kw)を増設。

 これら福島第二機関区に配置された物は、その後の本格使用に伴い長い下り勾配でかけるブレーキによって客貨車のタイヤ弛みが続出。その対策として加熱した車輪を水で冷やすことが検討され、4号機などに撒水装置が取り付けられ、デッキ上に水の入ったドラム缶が積まれました。しかし、デッキ上からでは水の落差が少なく、落ち葉や塵埃によって撒水パイプが詰まりやすい為、新たに昭和24年〜25年にかけて大宮工場にて屋根上に水タンクが取り付けられました。(工事項目は”レール撒水装置取り付け”)さらに、抜本的な解決策として昭和26年〜27年にかけて東芝にて電力回生ブレーキの取り付けが行われ、新たにEF16形を名乗ることになりました。なお、電力回生ブレーキ用の機器は、この区間では使用する機会の無かった弱め界磁制御を止めて、そのスペースに設置したとの記述があります。
 その後、上越地区に配置されたEF15も国鉄大宮工場にて昭和30年〜33年にかけて電力回生ブレーキが取り付けられ、奥羽線用と同じくEF16となりましたが、前者の勾配が33.3‰で後者が25‰と差があるため回生ブレーキの性能は異なっています。また、撒水装置や特別の耐寒耐雪装備も省略されています。(EF1624・31のみEF15時代に撒水装置が取り付けられましたがEF16改造後に取り外し)

 これらEF16に改造された物のうち、EF161〜10(EF151〜8,20,21)号機は奥羽線へのEF64投入で再びEF15に復元され、上越地区や首都圏などで活躍しました。その姿は廃車時まで独特のつらら切りなど福米時代の特徴を多く残していました。また、11・12号機は回生ブレーキの性能を上越形と同一にし、上越形EF16と共に水上―石打間の補機仕業を中心に活躍しました。上越形EF16は本家EF15の一次形が廃車になった後も、昭和55年10月改正でその任を新鋭EF641000に譲るまでその姿を伝えていました。

 これら一次形はわずか26両にも関わらず同じタイプの車体は二つと存在しないと言っても過言ではありません。それらの詳細については次の項目で述べたいと思います。なお、本ページを作成するにあたり、以下の資料を参考に致しました。

・交友社刊「鉄道ファン」1975年12月号、1977年9月号
・交友社刊「電気機関車展望 1」
・鉄道図書刊行会刊「日本電気機関車集成 下」(6348レ様、ご協力ありがとうございます。)
・誠文堂新光社刊「新版 電気機関車ガイドブック直流機編」
・プレスアイゼンバーン「電気機関車 Vol.2」(T.F様、ご協力感謝致します。)
・プレスアイゼンバーン「レイル '83 Spring」
・データ協力:H.Nakanoさん、T.Fさん

 一次形 形態一覧
 EF15一次形は、戦後の混乱期に製造された為かその形態は各機で細部が微妙に異なったものでした。ここでは、その特徴について分かる範囲でまとめてみたいと思います。何分すでに20年近く前に廃車になった為、数少ない資料を元に個人がまとめた物なので、不明点も多くあります。ご存知の方がおられましたらご連絡いただけるとありがたいです。また、間違い等ありましたらメールか掲示板にてお知らせ下さい。 指マークが出る部分をクリックすると、その項目の説明へジャンプします。
EF15 EF16 製造
年月日
製造 車体
断面
エアフィルタ 側窓 第1・
第5(4)
側窓
ジャンパ連結器台座 デッキ形状 通風口 汽笛
カバー
正面昇降段 前燈 前燈
台座
運転席水切り 側窓枠 備 考
1エンド 2エンド 1エンド 2エンド
(1) S22.7.31 日立 内寄り あり 変形 右6段 左右6段 福米 ステー あり 福米形
(2) S22.9.11 日立 中央 なし 川崎B’ 日立B’ 右6段 左右6段 福米 ステー あり 福米形
(3) S22.9.15 日立 内寄り なし 日立A’※4 福米タイプ 福米 ステー あり 福米形
(4) S22.12.15 日立 中央 なし 日立A’ 福米タイプ なし 原形A なし 福米形
(5) S22.12.24 日立 中央 なし 日立A’ 福米タイプ なし ステー なし 福米形
(6) S23.1.31 日立 中央 なし 三菱B” 右6段 右6段 福米 原形A なし 福米形
(7) S23.2.25 日立 中央 なし 日立A 福米タイプ なし 原形A なし 福米形
(8) S23.3.27 日立 外寄り なし 日立A’ 福米タイプ なし ステー なし 福米形
16 20 S22.7.16 川崎 内寄り あり 川崎A 川崎B なし 上越B 左右 原形B あり
17 21 S22.8.18 川崎 内寄り あり 川崎A 川崎B なし 上越B 左右 原形B あり グローブベンチレータ
標識燈掛け位置変形
18 23 S22.9.21 川崎 内寄り あり 川崎B なし 上越B 左右 原形B なし  
19 22 S22.10.18 川崎 内寄り あり 川崎B なし 上越B 左右 ステー あり グローブベンチレータ
手動式ワイパー取付跡
20 (9) S22.11.20 川崎 中央 なし 川崎A 川崎B 右6段 左右6段 福米 左右 原形A なし 福米形
グローブベンチレータ
21 (10) S22.12.15 川崎 中央 なし 日立B’ 川崎A 右6段 左右6段 なし 左右 ステー なし 福米形
グローブベンチレータ
22 11 S23.2.10 川崎 外寄り あり 川崎A’ 右6段 左右6段 福米 左右 ステー なし 福米形
グローブベンチレータ
23 12 S23.5.12 川崎 中央 あり 川崎B’※4 福米タイプ 福米 左右 原形B なし 福米形
24 29 S23.3.22 三菱 中央 1エンドあり
2エンドなし
三菱C 三菱C’ なし 上越B 原形A 三菱 なし
25 31 S23.4.27 三菱 中央 あり 三菱A 三菱A なし 上越B 原形A 三菱 なし 手動式ワイパー取付跡 
26 24 S22.5.30 三菱 中央 あり 三菱A” 三菱A”
テコ穴大
なし 上越B 原形A あり 側窓4枚
屋根上ベンチレータなし
27 25 S22.6.28 三菱 内寄り あり 日立 日立 なし 上越B 原形A あり 手動式ワイパー取付跡
28 26 S22.8.20 三菱 内寄り なし 三菱B 三菱B’ なし 上越B 原形A なし 手動式ワイパー取付跡
29 - S22.8.15 三菱 中央 なし 三菱A 三菱A2 なし なし 原形A なし 一次形原形
30 - S22.8.30 三菱 中央 なし 三菱D  なし なし ステー 三菱 なし 一次形原形
つらら切り変形
31 28 S22.9.20 三菱 外寄り あり 三菱A2 三菱A なし 上越B 原形A 三菱 なし 側窓4枚
32 30 S22.10.31 三菱 中央 あり 三菱B 三菱B なし 上越B 原形A 三菱 なし 手動式ワイパー残存
33 27 S22.11.30 三菱 中央 あり 三菱B 三菱B’ なし 上越B 原形A 三菱 なし 標識燈位置外側
引っ掛け式標識燈掛け残存

※注1:9〜11号機は2次形、12〜15号機は3次形  ※注2:EF16のナンバーに()の付いた物はEF15に復元  
※注3:備考以外の空欄は不明
※注4:3号機の1エンドR側(向かって左)のステップ奥の手すりは川崎タイプ、23号機(EF1612)の同部分は日立タイプ


 欠番及び製造年月について
 国鉄からメーカーに機関車を発注する場合、予定両数に合わせて各メーカにあらかじめ番号を割り振ってあり、各メーカーでは割り振られた番号の中から落成順に番号を付けていきます。そのため落成日とナンバーの順番は一致していませんが、メーカー内では基本的にそれらの順番は一致しています。(ちなみに落成1号機は昭和22年5月30日の26号機)

 EF15一次形では日立・川崎・三菱の3メーカーが製造を担当していますが、このうち日立で落成予定だった9〜15号機は、昭和24年のGHQによる緊縮財政措置(ドッジライン)によって製造が凍結され、9〜11は2次形として昭和26年に、12〜15は3次形として昭和26〜27年に落成しています。(そのうち9〜11号機は一次形の特徴も多く持つ変形機です。)
また、三菱製の24,25号機は同じ三菱製の26号機以降よりも遅い落成となっていますが、おそらく製造が遅れていた川崎に替わり、余力のあった三菱で川崎に割り振られていた番号で製造したものと思われます。
 各メーカー毎の特徴

 機関車の製造は設計図を元に行われるので基本的にはメーカー毎の差異は無いはずですが、実際にはメーカーによって屋根のカーブやナンバープレートの取付位置など微妙に異なる場合があります。EF15一次形ではその差が顕著で

日立:後の標準形に近い車体、ナンバープレート取付位置が左寄りかつ下寄り
川崎:全体に丸っこい車体、ナンバープレート取付位置が上寄り。
    正面の屋根昇降段が正面扉の左右に一列ずつ(通常は左側に一列)
三菱:全体に角張った車体(特に屋根カーブ)、ナンバープレート取付位置は高低色々

と言った感じです。また、足回りではデッキ形状に各メーカー毎に特徴があり、それらについては別項でまとめました。

 車体断面の高低

 過去、数々の資料で一次形の車体断面には2種類存在すると記されてきましたが、どの番号がそうなのか具体的に示された例は私が調べた中には存在しませんでした。一次形の図面では車体高さは3560mmと2次形以降の3530mmより30mm高くなっています。EF16の図面を見るとそれよりも車体高さが確かに100mm低くなっており、2種類の車体断面が存在したことは確かです。そこで写真を元にして調査したところ非常に興味深い結果を得ることが出来ました。(その後プレスアイゼンバーンの「電気機関車Vol.2」に記されている物と一致しましたのでほぼ間違い無いと思われます。)
 なお、この車体断面の高低について私は正面扉の取付位置から判断しました。(下写真○で囲んだ部分)また、車体側面のエアフィルタの取付位置を見ても前者と後者では車体下部との間隔が異なります。面白い事にEF13の車体(=旧EF58の車体)を見ても同様の差異が認められますので、デッキ付きの旧EF58の車体についても一次形EF15と同じ事が言えると思います。

 一部の文献では新電化区間のトンネルや橋の改修費を削るため(奥羽線用)EF15の台枠を100mm削ってパンタグラフの作用高さを低くしたものも作られた…と言う記述を見ることができますが、実際には奥羽線とは何の縁も無かった号機も車体高さが低くなっています。一覧を見ればお分かり頂けるように川崎製・三菱製の初期の物は車体が高く、日立製の全て、川崎製・三菱製の昭和22年8月〜10月落成分あたりより車体が低くなっています。日立においてはEF15に先立って製造された日立製旧EF58(基本的に一次形EF15と同じ車体)を見ると、EF15 1号機の直前に製造されたEF58 5号機では高い車体断面となっており、また、落成直後の日立製2号機の写真でも既に車体は低くなっている事から、同社においても昭和22年の7月落成分くらいに車体断面の変更が行われたものと考えられます。

 これらの点を総合して、一次形EF15の車体断面は昭和22年7月〜10月落成分にかけて仕様変更が行われたと言えると思います。ただし、複数の文献から見ても分かるとおり、その方法は単に台枠を削っただけという車体の強度からすれば問題あると思われる方法ですので2次形登場までの急場しのぎの感が否めません。

 これはあくまで想像ですが、戦後、新電化区間用として製造されたEF15とEF58は製造開始後それらの区間(おそらくは昭和24年10月電化開業の米沢〜福島)の規格に合わせて急遽車体高さを低くして製造されたものと思われます。

 その後、昭和26年におよそ3年のブランクを持って登場する2次形では車体断面や装備などについて、一次形での様々な教訓が生かされた形として側窓7枚の新設計の車体になったのでは無いかと思われます。
写真:車体断面の高いEF1626(左)と低いEF1631(右)
 エアフィルタ
space 一次形のエアフィルタには二種類あり、一覧を見ても分かるとおり製造初期の物が大きなタイプで昭和22年の8月から10月に掛けて小さなタイプに仕様変更された模様です。
 右図は左が大きなタイプ、右が小さなタイプで、枕バリの端面との位置関係を見ると、違いが良く分かります。
 第1・第5(第4)側窓の位置

 一次形では、製造当初、補機室側窓(機械室側窓両端の位置)が固定式となっていましたが、後の装備改造で木製の引き戸式に改造されています。その為かその取付位置が各機で異なっており、次に述べる三種類に大別されます。写真を見るとこれらのグループ内でも各機で微妙に位置が異なるようです。

<中央>2次形以降とほぼ同じ最も標準的な位置の物。枕バリ端面のほぼ真上に位置するもの(若干外に寄っている)
<内寄り>窓が枕バリ端面の真上から内側に寄っているもの
<外寄り>窓が枕バリ端面の真上から外側に寄っているもの

 エアフィルタが大きい初期の物では<中央>と<外寄り>、後期の小さい物では<中央>と<外寄り>の組み合わせが確認できます。なお、これらは製造毎にバラバラで法則性は見あたりません。一部資料では昭和23年から24年にかけて行われた装備改造時(高速度遮断機や抵抗器室上のベンチレータ取り付け、側窓増設、パンタグラフのPS14への変更など)に、補機室固定窓(第1・第5(4)側窓)を引き戸に改造。その際1,3,16〜19,27,28は車体中央よりへ約300mm(※実際には250mm程度と思われる)移動しているようだ…と言う記述がある文献もありますが、30号機が抜けているなど、事の真偽は不明です。

エアフィルタ大と側窓のバリエーション
左が<中央>で右が<内寄り>。エアフィルタが大きいグループでは、後者の方が標準的です。
エアフィルタ小と側窓のバリエーション
左が<中央>で右が<外寄り>。このグループでは、前者の方が標準的です。
 ジャンパ連結器取付台座
 EF16には、かつてNo1・No2エンド双方R側に付いていたジャンパ連結器の台座が残っていました。このジャンパ連結器については明記した資料がほとんど無く、プレスアイゼンバーン「レイル'83 Spring」と「電気機関車Vol.2」に「重連時の回生制動用ジャンパー栓受け」との記述があるくらいです。H.NakanoさんがEF16現役当時に水上機関区で聞いたところ「重連時の回生用ブザーのジャンパ」だそうで、氏がその時に運転席で確認したところ機関士側窓脇にブザーが取り付けてあったそうです。
 その用途ですが同氏のご意見では「EF16重連で回生運転する時に、前の機関士が後ろの機関士に回生運転のスタートやノッチの進段などの合図を、このブザーを介して行なっていたのではないでしょうか。(ブザーボタンは右手でノッチを操作して左手で押せる位置にある。)」と言うもので、また、鉄道ファン’77年9月号に「重連した時、他車の回生電流も読める様にした…」と言う記述もあり、それらのデータのやり取りに使われていたと思われます。なお、EF16からEF15に復元された物は、ジャンパ連結器だけでなく台座も取り外されています。
space
上写真:EF1612第1エンド          下写真:EF1612第2エンド
 デッキ

 一次形EF15のデッキは日立・川崎・三菱でそれぞれ異なった特徴を持ち、さらにそれらの中にも細かい違いがあります。また、一つの車体でも1エンドと2エンドで細部が異なるなど非常に複雑となっています。中でも三菱製の物は連結器解放テコ周りの仕様やステップと前端バリを結ぶステーの形状が様々で、私が確認したもので8種類存在します。

 1号機の物は、他に例を見ない独特の形状で、同機のみの変形タイプとなっています。また、6号機は日立製であるにも関わらず三菱タイプのデッキを持ち、反対に三菱製の27号機(EF1625)は日立タイプのデッキを持っています。これは、もしかしたら6号機がEF16に改造される(砂箱の増設が行われる)前に両機の足周りがそっくり交換されたのかも知れず、非常に興味深いところです。同様に、2号機は1エンドが川崎タイプで2エンドが日立タイプ、21号機は1エンド日立タイプで2エンド川崎タイプなど、同じ車体に異なるメーカーのタイプのデッキを持つ物があり、これらについても台車が交換されている可能性がありますが、履歴上には記載が無く、真相は今となっては不明です。

 また、初期に取り付けられた雪かき器は後の物とは形態が若干異なり、デッキのステップ部分に干渉するため、ステップの下側1/4ほどを取り外せるようにした物が存在します。上越形EF16(20〜)はこのタイプ雪かき器の干渉するエンド上部を欠き取ったものと思われ、標準の雪かき器とは形態が異なっています。

次にメーカー別にデッキ形態を紹介したいと思います。

 日立タイプ
space 日立製一次形の特徴は手すり上辺が長目で、ステップ部分の手すり角度が垂直に近く、ステップと手すりの結合部もステップの下から3段目となっています。また、ステップ部の角度も約14°と標準の約17°に比べ角度が浅く、この為、正面から見ると四角っぽい印象です。また、デッキと前端バリとの結合部は左右の角にRの付いた標準的なものですが、デッキ上面が前面に庇状に飛び出しており、中央先端2本の手すりがそこを貫通して取り付けられています。また、ステップ後位側の手すりが途中から曲がっているのも特徴です。

 ステップと前端バリを結ぶステーは、ステップ一段目下の内側に前位側・後位側共に太めの物が正面から見て水平に付いています。(上から見ると前端バリに接する部分に向けて若干絞られています)また、横から見るとステップ前位と後位を結ぶステーがステップ内側に踏板と水平に付いていますが、良く見ると付いていない物もあるようです。これらについては資料不足ではっきりしていません。(日立製一次形の細部写真をお持ちの方がいましたら、ぜひ、ご協力お願いいたします。^^;)一応、現段階で分かる範囲で後にまとめてあります。

 連結器解放テコはデッキと前端バリの結合部前面にコの字形の物(EF58と同タイプ)が金具で取り付けられています。これは、三菱製の一部の物を除いて全てこの形状です。

 また、手すりとステップの結合部のすぐ下に短く切ったパイプのような物が付いている物があり、一覧ではこれを<日立’>としてあります。このタイプは、他に一次形川崎タイプのみならず、2次形以降のEF15(76,77,79,87…)にも散見されますが、そのほとんどは寒地形でなおかつ長岡に配置された物が大半の様なので、メーカー別の特徴と言うより雪国独自の改造のようです。だとすると、どういう用途なのでしょう?
写真左:三菱製ながら日立タイプのデッキ・前端バリを持つEF16 25  写真右:日立’タイプ(EF15 8 撮影:EF5853さん)
 ステップステーAタイプ

space ステップ三段目下部の内側に前位側・後位側共に太めの物が正面から見て水平に付いています。(上から見ると前端バリに接する部分に向けて若干絞られています)また、横から見るとステップ前位と後位を結ぶステーがステップ内側に踏板と水平に付いています。

写真左:EF15 5(撮影:6348レさん)
写真右:EF15 5(撮影:まっつんさん)

 ステップステーBタイプ

space Aタイプと同様、ステップの前後内側にステーが前端バリに水平に伸びていますが、ステップ踏板と平行なステーは付かないタイプです。

写真左:EF15 2 2エンド(撮影:里見純一さん)
写真右:EF1521(撮影:Mr.スリムさん)


 川崎タイプ
 川崎製一次形のデッキは、ステップと手すりの結合部がステップの下から3段目の少し下、連結器解放テコの形状もコの字形の2次形以降の標準タイプに最も近いフォルムです。しかしながら、ステップ部の角度が標準よりやや浅く約15〜16°、デッキ部と前端バリの結合部など多少異なる部分があります。また、細かいところの差異でA,B及びそれらに’の付いた4種類に分類しました。
 川崎Aタイプ

space 川崎タイプはデッキ面と前端バリとの結合部の前面に、厚めの鋼板が日立製と同様に庇状に取り付けられ、その上に中央先端2本の手すりが高めの土台を介して取り付けられています。ステップと前端バリを結ぶステーは細い棒状の物が、ステップの3段目の奥から下向きに伸びています。
 このAタイプは前面の庇がフラットの物です。

写真左:EF16 20
写真右:EF16 23

 川崎Bタイプ
space このBタイプはデッキ面と前端バリとの結合部の庇状の鋼板前面に小さな欠き取りがある物です。これは、連結器解放テコのT字部分の先端がこの部分に当たるのを避けるためと思われます。この欠き取りのサイズも各機で微妙に異なっています。

写真:EF16 23

 川崎A’・川崎B’タイプ

space これは前述の川崎A及びBタイプの、手すりとステップの結合部のすぐ下に短いパイプのような物が付いているタイプです。同様の物は前述のように日立タイプや2次形以降のEF15でも認められます。この取り付け角度や位置は、各機で微妙に異なっています。

 これについてMT40さんより詳細なご指摘を頂きました。
「長岡運転所、東新潟区、水上区の15、16のステップに斜めに溶接されているパイプ状のものは、移動禁止合図の赤色旗を刺すためのものです。抜け落ちてしまわないように、ご丁寧に下部に抜け止めの細い鉄線が×状に付けられていました。長岡の58にも付いていましたね。」

写真:EF16 11

 川崎タイプブレーキ管

space 川崎タイプに共通した特徴として、ブレーキ管の配管方法があげられます。一次形の日立、三菱製やその後の標準タイプでは、ブレーキ管はブレーキシリンダ方向からほぼ真っすぐ前端バリ鋳物の横を通り担いバネ補助コイル下を通り連結器脇に至ります。ところが川崎製のものは前端バリの上面、デッキ下を通り上から補助コイル前部に』形に降りてきて、連結器脇に至っています。

写真:EF16 11


 三菱タイプ

space 三菱タイプは他のタイプと色々と異なった特徴を持っています。
 共通した特徴として、通常はデッキ面と前端バリとの結合部は左右にRが付いた形状ですが、三菱タイプのこの部分は直角で、反対に上部の通常直角の部分にRが付けられています。さらに、デッキ上面の格子状の滑り止め加工を施した鋼板がそのまま前端バリ部分まで達した独特の物となっています。(前端バリとの接合面にも若干Rが付けられている)

 ステップ部分の角度は約17°と標準タイプと同じですが、ステップ部分の手すりが長く、ステップとの結合部はステップの下から2段目と3段目の真ん中あたりとなっており、その角度も日立タイプほどではありませんが角度がきつくなっています。(手すりとステップの間隔が下部に行くほど狭くなっている)ただし、28号機(EF1626)、32号機(EF1630)の3両は川崎タイプと同様、ステップと手すりがほぼ平行になっています。

 ステップと前端バリを結ぶステーも前位側・後位側ともステップの3段目前面にボルトで止められ、そこから前位側は担いバネ補助コイル前に、後位側は前端バリと台枠の接合部付近まで伸びています。(上から見ると逆ハの字状)このステーの前位側向かって右側の形状にも2種類あります。また、前面の連結器解放テコの取り付け方法とその形状にも各種あり、ABCの三種に大別しました。なお、26号機(EF1624)は、ステップ部分の手すり形状が川崎タイプと同様で、ステップのステーについても他機とは異なる変形タイプのデッキとなっています。

写真:三菱C’タイプのEF16 29の2エンド

 三菱Aタイプ・三菱A2タイプ

space このAタイプは連結器解放テコがデッキと前端バリとの結合部の表面を覆う滑り止めの鋼板の裏に隠れていて、前端バリの横で留められています。前面の鋼板にはテコの先端部に合わせて縦長の穴が開けられ、そこからテコが外に出ています。
 この穴の幅や長さも各機で微妙に異なっており、穴の上部が鍵穴形に丸く大きく欠き取られた物を特にA2タイプとして区別してあります。

写真左:Aタイプ(EF16 31)
右:A2タイプ(EF1628 撮影:遊写さん)

 三菱A”タイプ

space このA”タイプはEF1624号機のみに見られるタイプで、三菱Aタイプの物のステップ部分の手すりとステップと前端バリを結ぶステーの形状が特殊なものとなっています。
 同機のステップ部分の手すりは、ステップと手すりの結合部がステップの下から3段目の少し下で川崎タイプと同様となっています。
 また、通常三菱製のステップステーはステップの前面にボルトで止められていますが、同機では、ステップの2段目の裏側に(多分)上から見て「コ」の字状のステーが取り付けられています。

写真:A”タイプ(EF16 24第2エンド 撮影:Y.Nishinoさん)

 三菱Bタイプ
space このBタイプは連結器解放テコが通常の物と同様、デッキと前端バリとの結合部の前面に付いたタイプで、その取り付け部は前端バリ両端になっています。また、このタイプにはステップと前端バリを結ぶステーに2種類あり、左右対称の物と向かって右側が前端バリ側面のブレーキ管下側に付いた物があります。後者は<’>を付けて区別してあります。

これは、2エンド3位側(向かって右側)の前端バリ側面に車両の転動防止用の手歯止め掛けを設置した際、デッキステーが支障する為、ステーの端バリとの接合部を下方に変更したものと思われます。

写真右:B’タイプの28号機(EF16 26)第2エンド
同機のステップ部分の手すりはステップとほぼ平行の変形タイプ

 三菱B”タイプ

space このEF15 6号機は日立製ながら三菱Bタイプのデッキを持つ変わり種です。また、同機のステップと前端バリを結ぶステーの右側は両エンド共、前端バリのかなり上方で接合されています。このタイプが他に存在するかは全機の両エンドについて未確認のため何とも言えません。(情報、写真をお待ちしてます。)

写真:EF15 6(撮影:H.Nakanoさん)

 三菱Cタイプ

space このCタイプは連結器解放テコの取り付け方法はBタイプと同様ですが、テコの形状が新形電機に見られる凹形になったタイプです。EF1524(後のEF1629)の古い写真ではBタイプの解放テコになっており、これはBタイプの解放テコを後年、改造で取り替えたものとみて間違いないでしょう。
 また、このタイプにもBタイプと同様、ステップと前端バリを結ぶステーが左右対称の物と向かって右側が前端バリのブレーキ管の下側に付いた物の二種類あり、後者は<’>を付けて区別してあります。

写真左:Cタイプ(EF16 29第1エンド)
右:C’タイプ(EF1629第2エンド)

 三菱Dタイプ
space このタイプはBタイプと同様ながら連結器解放テコ取り付け部が標準形と同じデッキ前面になったものです。(取り付け金具の形状は微妙に異なる)このタイプは30号機のみです。

写真右:Dタイプの30号機(撮影:青森さん)

 変形タイプ
space 日立製EF15の第1号機でもある、1号機のデッキは、他に例を見ない独特の形状となっています。
 まず目に付くのが手すりで、折れ曲がった独特の形で、ステップの奥側の手すりも通常ステップ部分のみのものがデッキ上、正面扉の前までつながっており、途中に柱が1本入っています。

 ステップ部分は担いバネ補助コイル上と通常よりも前位に位置しています。(右写真○部分)デッキの高さも標準よりも若干高めのようで、補助コイルに覆い被さるようにステップが付いています。

 デッキと前端バリの結合部分の前面も前端バリ前面とほぼツライチになっており、接合面が逆凸形になっています。さらに、見ての通りステップと前端バリを結ぶステーもステップ前側はステップ2段目と3段目の真ん中あたりから、前端バリの上方に太めの物がハの字形に伸びています。ステップ後側はステップの内側のやはり2段目と3段目の真ん中から前端バリ上方に伸びています。また、EF16時代の写真ではステップの段数が一段多い4段になっており、H.NakanoさんによるとEF15復元後、しばらくはそうだったようです。ちなみに、同機のステップと手すりの結合部下部にも短いパイプのような物が確認できます。

写真:EF15 1(撮影:ohnoさん)

 通風口
 一次形EF15では当初通風口は設けられていませんでしたが、奥羽本線に配置されたEF15については、耐寒耐雪装備を施す際に正面扉の窓を固定化したため通風口を設置しています。その形態は福米形として知られる蓋付きの物が機関士側正面及び側面、機関助士側側面の計6箇所に付けられたものと第1エンド機関士側正面に6段ヒダ、第2エンド機関士側・機関助士側双方に同じく6段ヒダの物が付けられた物が存在します。前者のタイプは昭和23年12月〜昭和24年2月にかけて寒冷地対策を施されたものに対して取付が行われたものと思われます。また、正面の取り付け位置は標準の位置と比べてかなり下になっています。
 これらのうち、6段ヒダのタイプは引っ掛け式標識燈時代には8段ヒダもしくは7段ヒダだったようで、通風口設置時はそうだった物を標識燈の埋込改造に際し6段ヒダに改造したものと思われます。引っ掛け式標識燈時代の姿を雑誌掲載の写真にて確認したところ、EF16 9 1エンド:7段(レイル 1983 Spring)、EF16 6 2エンド:左右8段(鉄道ファン 1975.12)となっていました。
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左写真:蓋付きの福米タイプ(EF1612)       右写真:左右6段ヒダのEF1611第2エンド   
 汽笛カバー
 EF15の汽笛カバーは落成時から取り付けられたものではなく、後から改造で取り付けられたため各種存在しますが、大別すると大形で先端が斜めになった「福米タイプ」、かまぼこ形の「上越タイプ」、新形電機の物と酷似した小形の「東新潟タイプ」があります。各タイプにはそれぞれ微妙な差がありますが、「上越タイプ」では大きさや先端部の形状などさらに数タイプあります。
 一次形では「福米タイプ」「上越タイプ」の2種類となっています。
 福米タイプ
space 福米タイプの汽笛カバーは大形で先端部が斜めになった物で、基本的に一タイプとなっています。先端部と取り付け部分とは大きめの曲線でつながっています。(左写真:EF1612)

 例外的に11号機のみ先端部がくの字形になっています。(右写真:EF1611)
 上越タイプ
space 上越タイプには福米タイプのような大きな物で先端が垂直になったタイプとそれよりやや小振りなタイプがあり、前者をAタイプ、後者をBタイプとしました。一次形では上越形EF16にBタイプが付いています。また、Rの大きさなど各機で微妙に断面が異なっています。

写真:上越Aタイプ(EF1623)

 正面屋根昇降段
 一次形の正面昇降段は4段でその後の標準の5段の物(5段目は機関助士側窓上)とは段数も取付位置も異なっています。また、通常は機関助士側のみに一列付きますが、川崎製は機関士側にもう一列付いています。
 昇降段の取付位置は車体断面の高低で100mmずれますが、三菱製は窓や扉と同じく車体上部を基準として取付られているのに対し、川崎製は昇降段のみ車体下部を基準として各段の間隔も詰めて取り付けられています。その為、同じ川崎製でも車体断面の高低で前面窓や扉との位置関係が変わっており、低いものは見た目は昇降段が上にずれたような印象になっています。
●一次形日立・三菱
(車体断面低)
●一次形川崎(車体断面高) ●一次形川崎(車体断面低) ●標準形(3次形〜)


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