EF16 11〔水上〕(旧EF15 22) 川崎製 福米形 |
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■福米EF16の生き残りの人気者。グローブ式ベンチレータ装備 ■写真を見る
特徴:
奥羽本線の福島〜米沢間用EF16を上越用EF16と同等に再改造したものです。正面扉・前燈上のつらら切りや先端の尖った大形の汽笛カバー、増設された砂箱にその面影を見ることができますが、他の福米EF16をEF15に復した物と外見はほとんど変わりません。上越に移り水タンクを撤去した後もしばらくは、電気笛がそのまま残っていました。
元は川崎製のEF1522で一次形後期の車体断面が低くエアフィルタが小さいタイプです。川崎製一次形EF15は、車体が高くエアフィルタが大きい初期タイプは上越EF16に、車体が低い物は奥羽EF16に改造されています。正面の昇降段は川崎製一次形独特のLR両方に取り付けられ、車体が低い物に関しては取り付け位置も他の一次形とは若干異なっています。川崎製デッキは一次形ではEF15の標準タイプに最も近い形です。機械室側窓両端の位置はEF1628と同様、標準より若干車端部に寄っています。一次・二次形の標識燈は当初全機引っ掛け式で後に埋込式に改造されていますが、福米タイプの取り付け位置は引っ掛け式標識燈時代に増設された通風口を避けてか総じて標準位置よりも外側になっており、独特の表情を醸し出しています。
福米形の特徴である運転室用通風口は二種存在しますが本機では1エンド前面機関士側に6段ヒダ、2エンド機関士側・助士側に6段ヒダのものが取り付けられ、両エンドで微妙に異なる表情です。(ヒダ式の通風口ではEF156を除きこの形態。引っ掛け式標識燈時代にはそれぞれ8段もしくは7段ヒダ)屋根上の抵抗器室カバーのベンチレータは上のEF1621と同じくグローブ式が取り付けられています。増設された砂箱は全て小さいものとなっています。前燈はPS15パンタグラフを搭載した車と同様のステーによる取り付けとなっていますが、正面扉上のつらら切りを避けてやや上方に飛び出して取り付けられています。ワイパーは機関士側がWP50で助士側がWP35です。本機は奥羽線を離れた後、廃車間際の昭和55年3月に水上に転属するまで長岡区に配置されており、同区のEF15と同様、正面扉の右側に手すりが設置されています。
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EF16 12〔水上〕(旧EF15 23) 川崎製 福米形 |
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■同じく福米EF16の生き残りの人気者。福米形通風口装備 ■写真を見る
特徴:
上のEF1611と同じく奥羽線用EF16を上越用EF16と同等に再改造したものです。この両機は元のEF15でも1番違いで、共に川崎製の車体断面が低くエアフィルタが小さいタイプです。落成時は両機とも同じ姿でしたが後の改造によって若干印象は異なっています。主な差異は
- 抵抗器室ベンチレータ形状
- 第1・第5側窓の位置
- 運転室通風口の形態
- 前燈取り付け方法、避雷器位置及び台座高さ
- 増設された砂箱の形状(11号機は全て川崎独自の小さい物なのに対し12号機は増設された分は標準タイプの大きな物)
- 汽笛カバー形状
- 雨樋の長さ(信号煙管を隠している11号機、信号煙管が雨樋の外に出ている12号機)
3.の前燈取付方法は本機ではLP42の台座を用いて取り付けられています。7.の雨樋の長さですが、雨樋取付後に付けられた信号煙管の取付位置とも密接な関係があり、EF15一次形及びEF16では大別して雨樋が信号煙管を覆い隠している物と信号煙管が雨樋の外に出た物の二種類があります。
ワイパーは機関士側がWP50で助士側がWP35で、最終的にはほとんどの機がこの組み合わせになっています。本機も昭和55年3月に水上に転属するまで長岡区に配置されており、同区のEF15と同様、正面扉の右側に手すりが設置されています。なお、本機の1エンドR側のデッキ手すりは後位側のみ日立タイプになっています。日立製のEF153の同部分が川崎タイプとなっており両機のこの部分が入れ替わった物と思われます。また、細かいところですが本機の第1・第5側窓にはタブレット保護柵の取付跡と思われる穴?が見られます。
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EF16 21〔水上〕(旧EF15 17) 川崎製 |
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■車体が高くエアフィルタの大きい川崎製上越EF16の標準的な姿。グローブ式ベンチレータ装備 ■写真を見る
特徴:
上越用EF16になった物は新製配置から廃車まで上越線で生涯を過ごしています。本機は車体が高くエアフィルタが大きい初期タイプで、上越形EF16になった川崎製一次形は全てこのタイプです。昇降段は川崎製一次形の特徴のLR両側に取り付けられた物。なお、車体が高いタイプは前面下部の中央が大きく欠き取られています。落成当時から可動式だった側窓(運転室・第2・第4側窓)には窓下辺に窓枠の様な物が見られます。
デッキは一次形川崎タイプです。機械室側窓の両端の位置は標準位置より車体中央に寄っています。屋根上の抵抗器室カバーのベンチレータは旧形国電と同様なグローブ式が取り付けられています。つらら切りは上下幅が広く全体に丸っこく、先端部が枕木方向と平行になっていない(前面の傾斜と同じ)物です。砂箱は全て川崎初期独自の小さい物となっています。前燈は原形のLP42用の台座をそのまま使用して取り付けられています。その台座は三菱製とは異なり前面に補助燈掛けが付いたタイプです。ワイパーは機関士側・助士側共にWP50で、第1・第2エンドデッキ前面R側に重連用ジャンパ栓受けの取付台座が残っています。
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EF16 27〔水上〕(旧EF15 33) 三菱製 |
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■標識燈取付位置の変形機。車体に引っ掛け式標識燈時代の標識燈掛けも残す。 ■写真を見る
特徴:
本機の種車は三菱製一次形後期の車体断面が低くエアフィルタが小さいタイプのEF1533です。三菱独特のデッキは連結器解放テコが前面に露出したタイプで、デッキステップの支えの前位機関士側の取付方法が1エンドと2エンドで異なっています。機械室側窓の両端の位置は標準位置となっています。
本機の埋込標識燈は1エンド、2エンド共に福米タイプよりもさらに外側に寄って取り付けられています。特に1エンド側が激しく、車体に残った標識燈掛けと相まって特異なマスクになっています。避雷器は1エンド・2エンド共パンタグラフと抵抗器室カバーとの間です。前燈は原形のLP42用台座を用いて取り付けられています。
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EF16 28〔水上〕(旧EF15 31) 三菱製 側窓EF15一次形原形 |
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■EF15一次形原形の面影を残す ■写真を見る
特徴:
EF16の種車になったEF15一次形は落成から約1年後の昭和23年〜24年にかけての整備改造時に車体中央に固定窓が増設されましたが、本機は施工漏れで原形の側窓4枚が残ったものです。(他に26号機(EF1624)があり。)
本機は三菱電機・三菱重工製一次形後期の車体断面が低くエアフィルタが小さいタイプです。デッキはEF1529とほぼ同じ形態ですが、本機のデッキ前面の解放テコ用開口部の形状は1エンドと2エンドで若干異なっています。
機械室側窓の両端の位置は一次形では数パターンあり、本機は標準より若干車端部に寄っています。これは前述の整備改造時に窓を開閉式にする際に移設したのではないかと想像されます。前燈は原形のLP42用台座を用いて取り付けられています。
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