<一次形デッキ>

 日立タイプ


日立製初期のデッキは標準タイプよりも手すりの上面の幅が広く正面から見ると四角っぽい印象です。また、他メーカーのデッキ(後の標準デッキも含めて)に比べてステップ部の枠がかなり太く、その取付角度も約14°と標準の約17°よりも浅くなっています。
デッキ前端上面の網目鋼板はデッキ先端に庇状に伸び、そこを貫通して手すりが取り付けられています。手すりの後位側は中央付近で折れ曲がっています。
デッキステップと前端バリをつなぐステーはステップの下から三段目下部の内側に前位側・後位側共に太めの物が正面から見て水平に付いています。(上から見ると前端バリに接する部分に向けて若干絞られています)また、横から見るとステップ前位と後位を結ぶステーがステップ内側に踏板と水平に付いています。
デッキと車体を結ぶ渡り板の形状は各メーカーそれぞれ特色があり、この日立の物は上面が曲面で構成されています。また、日立と川崎の物には渡り板側面に三角柱状の耳が付いています。

 川崎タイプ


各メーカ独自のデッキを持つ初期形の中で後の標準タイプに最も似たタイプです。とは言え細部はやはり異なっており、デッキステップの角度は約15〜16°、デッキ前端上部に庇状の鋼板が付き、その上に取り付け具を介して手すりが取り付けられています。また、ステップ部を支えるステーが一枚の鋼板で、ステップ三段目の下部中央から前端バリ側面に伸びています。又、前端バリ側面のブレーキ管の配管が独特でご覧のように釣り合い梁補助バネ手前で直角に前端バリ上部に伸びています。デッキステップを支えるステーはステップ三段目の下部中央から一枚の鋼板で前端バリと結ばれています。
デッキと車体を結ぶ渡り板は日立と似た形態ながら直線で構成されており、前部から後部にかけて緩い勾配となっています。

 三菱タイプ

三菱製初期のデッキは標準タイプよりもデッキステップ部の手すりが長く、デッキステップと台枠をつなぐステーはステップ部の前後に独立して取り付けられ、前位側は釣り合い梁の補助バネの前(このタイプではブレーキ管の上方)に、後位側は前端バリの台車台枠と接する付近の大きな欠き取り内部に締結されています。デッキステップの角度は約17°で標準タイプと同一です。デッキと車体を結ぶ渡り板は角張った形状で、車体が低いタイプでは後部が下部に落とし込まれています。
デッキ前端部の解放テコ取付方法に数パターンあり、それぞれA,B,C,Dタイプに分類しています。
Aタイプ
このAタイプはデッキ上面の網目鋼板が前面まで回り込み解放テコを覆っているものです。
B,Cタイプ
このタイプはデッキ上面の網目鋼板が前面まで回り込んでいるのはAタイプと同様ですが、解放テコはその上に取り付けられているものです。テコの取付はAタイプと同じ取付座を90°回転させて使用しているようです。テコの形状に2種あり、イラストのEF15標準の直線状の物をBタイプ、60系電機に見られるテコ先端部が凸形に飛び出している物をCタイプとしています。
Dタイプ
DタイプはEF1530のみに見られるタイプで、解放テコを標準タイプと同様に前面の三角形の台座で取り付けた物ですが、台座形状はテコを通す部分の位置が標準よりも若干上になっています。

 変形タイプ


デッキステップが前位側に寄った独自の物で、手すりの形状も他機とは全く異なる日立製1号機のみに見られるタイプです。
通常デッキステップ前面に出ている釣り合い梁のバネ吊りが、ステップ部分の真下に隠れています。また、デッキの位置と手すりも標準より高くなっており、手すりの形状と相まって前から見るととても大ぶりに見えます。対して横からの印象は、通常はデッキで隠れている剥き出しの先台車釣り合い梁の上に、板状のデッキと車体を結ぶ渡り板しか無く、デッキの細い骨組みと共に何とも華奢な印象です。ステップ部を支えるステーも正面から見てハの字になっており、何となくチョビ髭みたいでユーモラスです。
デッキステップはEF15復元後の昭和40年代半ばに従来の4段から3段に改造されています。