ELECTRIC LOCOMOTIVE EF15  EF16 28 細部 Vol.1

Last Update 2020.12.1

昭和55年(1980年)10月改正(ゴオゴオトオ)で長らく水上〜石打間の補機として活躍したEF16形は、後継のEF64 1000番台にその任を譲り全機運用を離脱しました。

その後、水上機関区や長岡運転所、石打駅構内に留置されたEF16が1両、また1両と廃車となり姿を消していくなか、EF1628号機も昭和56年(1981年)12月1日付けで廃車となりますが、幸いにも翌年5月に同機ゆかりの地、水上町(現みなかみ町)にて静態保存され、現在もその勇姿を見ることが可能です。

私も以前からどんな様子か気にはなっていたのですが2002年8月14日と31日の二日間、ようやく様子を見に行くことができました。
しかしながらその状態は屋根付きとは言えお世辞にも良いとは言えませんでしたが、22年ぶりのEF16との対面は実に感慨深いものがありました。

ここではその際に撮影した同機の細部写真を中心に現況をお伝えしたいと思います。自分で形式図を描く為の確認用に各部の採寸と共に撮ったものが多く、第三者が見ても訳が分からないとも思われますが、模型製作の参考にでもなれば幸いです。(2002.10.28記)(2017.9.1加筆修正)

今回、サムネイル写真と拡大写真の両方のサイズを拡大し、同時に2006年8月に撮影した写真を追加し、説明文とレイアウトの修正を行ないました。本ページの設置から早15年。EF1628の状況は大きな変化は無いものの、1エンド側の前面窓や前燈が割れたりとその荒廃は確実に進行しているようです。とは言え、今も現役当時の姿を偲ぶ事ができるのは、こうして実機が保存されているからにほかありません。いつの日か、傷んだ車体を何とかしてあげたいものですね。(2017.9.1記)

※画像をクリックすると大きなものが表示されます。

 保存の概況
EF1628は現在、水上駅と諏訪橋大橋との中間点くらい、国道291号線脇にある「道の駅 みなかみ水紀行館」(群馬県利根郡水上町湯原1681-1)の駐車場の片隅に保存展示されています。水上駅からは車で5分、徒歩で25分くらいでしょうか。同所からは利根川を挟んで上越線を臨むことができ、下り列車からは車内からでもその姿をかいま見る事ができます。なお、休日は多くの車が駐車しており、本機のすぐ手前まで駐車スペースになっているためなかなか全体を拝むことはできないかも知れません。
 2002年8月14日撮影

本機の脇に掲示されている保存の経緯を示す看板。昭和57年(1982年)5月設置となっています。
それから40年が経過。ところどころ剥がれて判別できないこの状態が既に町の記憶から忘れられた本機のこの当時の現状を物語ります。

ちなみに剥がれた部分を修復して綺麗にしてみました。渓谷のあたりなど一部不明な部分はそれらしく想像で補ってます。
「EF-16型はその雄姿とけんいん力の強さ及び経済性から長い間電気機関車の王座に君臨し…」の文言が何とも言えません。

諏訪峡?上を行く、EF16数重連のイラスト部分のアップ。
保存時の姿を参考にしたのでしょう。パンタが上がっていないのが残念ですが、細部もしっかりと28号機として描かれています。
このように屋根付きではあるものの柵のない状態で、部品の盗難やガラスの破損が少々目立ちます。車体は20年を経過している事を考えると良い方かも知れません。1エンドL側。(2位側)
020814-07 1エンド1位側デッキと前端バリの接合部。三菱製EF15一次形独特の形状で連結器解放テコはこのように取り付けられています。左に大きく張り出しているのはかつて取り付けられていた重連用ジャンパ栓受けの取付台座。 020814-06 同じく1位側のジャンパ栓受け取付台座。同栓受けは1エンド、2エンドともR側に付けられていました。
020814-04 先輪と第1動輪を結ぶ担いバネ。EF15一次形は当初、この部分の板バネ枚数が標準型より1枚少ない7枚だったそうですが、後にご覧の通り標準の8枚に改造されています。 デッキステップ部。下部がボルトで継ぎのようになっているのは初期の雪かき器がこの部分に干渉する為、冬季に取り外していた名残です。雪かき器裏側形状にも注目。
020814-09 2位側、第2軸砂箱。蓋を開けると現役時代の砂がそのまま入っていました。 020814-10 主台車中央に設置されたATS-S形車上子。2エンド側HT61台車(右)の中間連結横バリに固定されています。
020814-11 4位側から見た2エンド側主電動機取付横梁。第2軸と第3軸の主電動機がここを支点に各車軸に吊り掛けられています。 020814-12 2エンド側第2軸主電動機銘板。昭和22年日立製作所・MT41の銘。本機は三菱製なので日立製のEF15一次形又はEF16の物だと思います。日立製の一次形は新製から2年ほどで上越線から奥羽線に全機移動しており、入れ替わったのはその間の機関区か、もしくはその後の大宮工場の検査時のどちらかと思われます。
020814-13 4位側、第1軸付近。足回りだけ見ると、まだまだ現役時代を彷彿させます。 弟2エンド前部。こちら側が4位側になります。現役時代はこちらが石打方でした。
担いバネや釣り合いバネなどEF15独特の前端バリ付近。雪かき器の上部の端はデッキステップ干渉部が大きく欠き取られています。(もともとは端まで直線) スノウプロウ(雪かき器)の補強板。欠き取り部は先台車取付の排障器(排障器の付いた雪かき器の通年取付で取り外し)を避ける為でしょうか?
020814-18 2エンド4位側。車体は何度か塗り直されているようですが、塗り分けや色の違い(退色かもしれませんが)で現役時代とはかなり異なった印象です。しかし、この逞しい風貌はまぎれもなくEF16!
モノクロ化してみるとそんなに違和感無いですね。(モノクロ版)
2エンド3位側前端バリ付近。上部手前に張り出しているのは重連用ジャンパ栓受け取付台座。その下には転動防止の手歯止め掛け。その下はデッキステップを支えるステーです。
020814-20 2エンド側前部。デッキ部右側面にジャンパ栓受け取付台座。1エンドとは反対側に付きます。 020814-21 同じく2エンドの4位側です。三菱製EF15一次形中25(EF1631),26(EF1624),29,31(EF1628)の4両はこのように連結器解放テコがデッキ内部に収まった独特の形状でした。
2エンド側デッキ上面。菱形の滑り止め加工が施された鋼板が貼られていますが、このようにつぎはぎ状です。 デッキ上より先台車の担いバネを支える補助バネ取付部を見ます。
デッキ先端の左側面に付いているのがジャンパ栓受け台座。左の隅のデッキステップから前端梁に向けて斜めに渡っている鋼材はデッキステップを支えるステー。手歯止め掛けの当たる部分が欠き取られています。
出入台踏段(デッキステップ)はスノコ状。この改造は上越地区のEF15(EF16)に対して降雪・降雨時の安全性向上の為、昭和50年前後に大宮工場で行われたもの。(竜華区のEF15に対してもステップ最下段のみ同改造が鷹取工場にて晩年行われている。) 2エンド側の前燈で250WのLP402形。同形には奥行きの大小で2種あり、これは小さいもの。前燈の取付座は原形のLP42のものを利用しています。
2エンド正面扉の開閉ノブ付近。ノブの下の穴は本来の鍵穴でその下の針金で結ばれた部分は保存後に取り付けられたものです。 正面扉とデッキ部を結ぶ渡り板は車体側にヒンジがあり、デッキ上に載せ掛けてあります。これも2エンドです。
雪かき器(スノウプロウ)に取り付けられた排障器。取付高さを調整できるようにネジ穴が縦長になっています。これも2エンド4位側です。 4位側HT61台車の前端部。中央の円筒はブレーキシリンダー。その背後に先台車と第1軸を結ぶ釣り合い梁が通っています。
前述のデッキステップ取り外し部のアップ。切断したデッキステップ枠の外側に新たに鋼板を貼り、ボルトで上部と締結する構造です。これは2エンドの3位側。 4位側第2軸付近。右上隅の四角い部分が枕梁。その先は車体傾斜を支える側受です。
4位側エアータンク。 2位側エアータンク。
2位側エアータンク。 1エンド2位側。本機はEF15一次形の車体断面の低いタイプが種車で、正面扉の位置が通常より100mm低い為、正面扉とデッキを結ぶ渡り板の車体側が下方に斜めになっています。
同じく2位側車体前部を下から。左側の天秤のような物は、普段、デッキ下に隠れて見えない先台車釣り合い梁。 同じく2位側。奥のアコーディオンの様な物が主電動機へ冷却用空気を送り込む風道です。その先に接続されているのがMT41の空気取り入れ口。
ここから1エンドデッキ上からの撮影です。運転室内部で窓ガラスが外れた正面扉より撮影。内部は非公開なので比較的綺麗な状態。それでも闖入者があったのか少々荒れています。 同じく1エンド側の運転室内部。運転室背面の機器類も現役時代を彷彿させます。
真ん中には消化器が置かれていたであろう痕跡が。 1エンド側のLP402形正面。レンズもまだまだ輝きを失っていません。

※この1エンド側の前燈は、現在レンズが無くり中の電球も無くなってしまっています。
デッキ渡り板のヒンジ部のアップ。 1エンド側に唯一残るナンバープレート。いつまでも無事に残っていて欲しいもの。こういったパーツは解体された物なら仕方ないですが、本来あるべき位置に付いていてこそ意味があると思います。
デッキ手すりの取付部。 前燈の取付状態が良く分かります。本来銀色の後ろの避雷器(LA15)カバーも黒く塗られています。(^^;) ちなみにLA15に円筒形のカバーが付いた物がLA15Bです。
哀れ、壊れたWP50ワイパー。 デッキ渡り板。本来はこの部分は車体からデッキに乗せかけているだけで、上方に跳ね上げる事が可能ですが、ペンキで固着してしまっています。ここを上げると先台車釣り合い梁の姿が見えます。
1エンド側運転室内部。機関士側屋根。ブザーの様な物が。 1エンド2位側雪かき器取付座。しっかりとHT61主台枠にボルトで締結されています。
1エンド側のブレーキ管まわり。 同じく1エンド。ブレーキ管は2位側の端梁側面を先輪の泥よけに沿って車体に伸びています。

ここまで8月14日撮影。
 2002年8月31日撮影
ここから31日撮影です。

再び1エンド側運転室内の写真でこれは機関助士席。
1エンド側機関士席。窓から手を伸ばしてノーファインダーで撮影。曲がってしまいました。
1エンド側機関助士席。窓は横開き。手前の盾みたいなのは主幹制御器のカバーでしょう。 1エンド側機関助士席。窓内の四角い枠はデフロスタです。
1エンド機関士席。窓が開けっぱなしで汚れがひどいですね。機関士側の椅子は新形電機…と言うか60系電機のそれと同様なタイプに交換されています。

カバーが外れて剥き出しの主幹制御器が痛々しい…。
2エンド側のデッキ上に移動。
これは3位側、唯一壊れずに残ったWP50ワイパー。

2エンド側機関助士席。前面扉の隙間から撮影。

助士席側の椅子は製造時の物がそのままですね。
2エンド側の前面ナンバープレートは木製の代替品になっています。(T_T)
側面エアフィルタ。25本の棒?で構成される。これは2位側です。 1エンド側先台車。デッキ下に見える先台車中心ピン。この上に先台車釣り合い梁が取り付けられる。先台車の首振りの中心となる心向棒ピンはこれより1200mm後ろ、台枠端梁下部から伸びた所にあります。
これも1エンド側です。先輪内部にLT129先台車の軸箱が見えます。通常先台車に取り付けられている排障器の取付足は排障器が付いたスノウプロウの通年取付で取り外されています。 これも1エンド側です。連結器はEF58とは異なり、端梁下部から取り付ける構造。連結器の復心装置は端梁内部に納められています。 
2位側の枕梁付近。左が1エンド。写真中央に見えるのが車体の傾きを抑える側受で、車体の枕梁から伸びる上側受と台車側の下側受が台車回転時の摺動に対応する為、耐摩レジンのスリ板を介して接合されています。 主電動機の風道。中央を通るのはブレーキ管です。これは1エンド側の第1軸部分です。左に斜めに立ち上がっているパーツは台車台枠にボルトで締結された前端梁です。
台車台枠の中を覗くとブレーキ装置の奥に鎮座するMT41主電動機の姿。これは1エンド側台車の第2軸です。 エアータンク下の砂箱の蓋はエアータンクが干渉して蓋が充分に開けられない為か、止め金が左右2カ所に付けられ蓋を取り外せる様に改造されています。機関区独自の改造でしょうか。
3位側。第2エンド側台車の第1軸R側には電気式速度計の検出装置が取り付けられています。この検出装置はもう1か所、第1エンド側台車の第2軸のやはりR側にも取り付けられています。 同じく3位側のブレーキシリンダー付近。シリンダーに連結されたブレーキテコ、その奥を通り台車の外側に飛び出る第1軸と先輪を結ぶ折れ曲がった釣り合い梁など、この辺りの複雑な構造がEF16(EF15)の機械的魅力でしょうか。
車体台枠下に取り付けられた主電動機ケーブルの結束ケース? 駐車場側の反対側(R側)の車体は南側で太陽光にさらされているせいか、かなり荒れています。もともとあった溶接跡がより激しくなっている様な…。(^_^;) 右側が1エンド1位。
同じくR側。2エンド3位側を見る。 再び1エンド2位側。右隅に自動車の姿が見えますが、道の駅の駐車場内の為、車が多いときは車で車体がすっかり隠れてしまう事が多いかもしれません。
木枠が銀に塗られた2位側の運転席側窓。窓の縁が丸く処理されていますが、この辺は機関区でその都度修理していた様で、本機も3位側は直線的な形になっています。 2位-4位側より。手前が2エンドでこちらの側面がL側になります。車がいなくなるのを待っていたらすっかり陽が回ってしまいました。
柱がちょっと邪魔ですが、往年の勇姿を思い起こさせます。 屋根付きの保存はありがたいですが、どう撮っても顔に柱が…。(^^;)
2エンド4位側サイド。 L側中央部。機械室側窓の中央窓が無い姿は、種車のEF15一次形の原形です。
1エンド2位側サイド。 足回りのサイドビュー。2エンド4位側。こちらは第二台車。
第二台車第2軸と第3軸。台車台枠中央を通る釣り合い梁が第2軸と第3軸の担いバネを結んでいます。 第一台車L側。第3軸(右)と第2軸。
1エンドL側(2位側)。 L側サイド全景。3枚の写真をつなぎ合わせたのでちょっと不自然です。左が1エンドになります。

L側のナンバープレートと製造・改造銘板の取付跡。これも2枚の写真を繋いだので少々不自然です。

少なくともこの塗装になった後に外された事が分かります。 一体誰が外したんでしょう…。
最後に2エンド4位側からの勇姿をもう一度。
 2006年8月6日撮影
上の撮影から4年後。ロクイチ撮影の合間に久々に再訪しました。

2エンド側から見たL側です。4年が経過していますが、一見それほど変化は見られません。
1エンド側から見たL側です。前回駐車中の車で撮れなかったアングル。
4年の間に雪のせいか屋根が大分へこんできています。
こちらは2エンド3位側。4年前と比べるとデッキ部分の錆が進行しているのが目立ちます。 2エンドの4位側です。前回はイベント用のテントが設置してあったりで、車体に寄って撮るしかなかったのですが、今回は引いて撮る事ができました。
1エンド側です。2エンド同様、以前は子供用の遊具がこの辺りに設置されていて撮影がしずらかったのですが、今回はそれが撤去されていて後ろに下がって撮ることができました。 4年前とあまり変化は無いかと思いきや、残念ながらこちら側の前燈のレンズが無くなっていました。剥き出しになった内部には電球も見当たりません。
同じく1エンド。前面扉の窓も欠落したままです。この後、更に左の助士席側の窓も無くなってしまいました。 1エンド側のLT129先台車の軸箱の前面です。前回撮りそこなっていた部分。

これを最後に10年以上訪問していません。最近の状態をネットで拝見すると車体の傷みが進行している様です。


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