ELECTRIC LOCOMOTIVE EF15
形態バリエーション(EF15二次形)

Last Update 2009.4.27

二次形になりその後の標準形である側窓の増加(7枚化)、モニタ屋根の取付、正面扉窓の固定とそれに伴う正面通風口の設置が行われています。また、落成当初からPS14パンタを搭載し、パンタ下の機器室点検蓋の形状、屋根上手すりの設置位置が変更されています。また、抵抗器室カバーの形状変更に伴い、クレーン用のフックも取り付けられるようになりました。

さて、EF15の二次形は一次形の製造から約3年後の昭和26年4月に登場しています。これはその間、EF58同様ドッジラインにより製造が凍結されていた為です。EF58ではその間の仕掛け品がEF18、EF5835,36と言う変形機を産んだように、EF15二次形も一次形の特徴を各所に残しています。特に日立製の9〜11号機は側窓5枚の一次形の車体を利用して製作されたようで、側窓の中央3枚の位置が一次形と同じになっています。
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 EF15 10〔東京〕 日立製 側窓変形
一次形と二次形の合いの子。標識燈位置変形。原形窓 写真を見る(青森恒憲さん)

特徴:
日立製二次形の3両は一次形の車体に後から窓を足して製造されたと思われます。その為、側窓配置が一次形、他の二次形以降とも異なっています。(下の35号機と比べると良く分かります。また、屋根上の雨樋も取り付けられていません。同じく雨樋未取付だった一次形は後の改造で取り付けられており、EF15(EF16)で最後まで雨樋未取付だったのはこの3両のみです。

仕様が変更された抵抗気室カバーは幅約1500mmで左右とも同タイプで、間に挟まれたモニタも幅が約3100mmと後の標準形(約3600mm)に比べ随分と小さくなっています。EF15では二次・三次形までこの形態で、中でも日立のモニタは小さな窓が6個並んだ独特の物です。デッキは日立製一次形と同様なタイプです。正面扉も一次形の物ですが窓が固定化され、ドアノブは標準タイプの横向きです。正面通風口は1エンド側が機関士側(右)7段・助士側(左)8段、2エンド側が機関士側のみ7段で、その取付位置も左右対称(1エンド)で標準位置よりも随分下になっています。両エンドで取付数が異なり、また段数も二種類ある理由は不明です。一次形の福米形では1エンドが機関士のみで2エンドが左右と、このグループと1エンド・2エンドの仕様が反対になっている事と合わせてEF15の謎の一つです。

本機は車体正面両端に残る標識燈掛けからも分かる通り元は引っ掛け式標識燈で下の11号機とほぼ同じ形態だったはずですが、埋込式に改造された標識燈が通風口を避けて極端に下側に取り付けられ、特異な表情になっています。前面窓は原形でHゴム窓と比べると随分小さく見えます。つらら切りは日立製二次〜四次形独特の丸っこくて大きなタイプでワイパーのWP50、WP35化に際し、取付位置はそのままで上部に逃げが設けられています。前燈は原形のLP42用台座を用いて取り付けられています。東京区のEF15の特徴だった常磐線列車無線はモニタ上に取り付けられています。避雷器の取付位置は1エンドと2エンド共にパンタ後ろとなっています。

 EF15 11〔東京〕 日立製 引っ掛け式標識燈 側窓変形
一次形と二次形の合いの子。廃車時まで唯一引っ掛け式標識燈を有す。原形窓 写真を見る
特徴:
10号機と同じく一次形の車体に後から窓を足して製造された物。側窓の中央3枚の位置が一次形と同じです。やはり屋根上の雨樋も取り付けられていません。

形態は上の10号機とほぼ同じですが、ご覧の通り標識燈が落成時の引っ掛け式となっています。その為、低い車体と相まって正面から見るととても平べったく見えます。引っ掛け式標識燈だった一次〜二次形の中で、最後までそれを残した唯一のEF15でした。正面扉も10号機同様一次形の物で窓に木枠が無い分、一次形よりも窓が大きく見えます。正面通風口は1エンド側が機関士側7段・助士側8段、2エンド側が機関士側のみ7段で、その取付位置も10号機より若干下になっています。この事が同形態の10号機が標識燈の埋込改造が行われているにも関わらず、本機に対してなされなかった理由でしょうか?理由はともあれ晩年まで引っ掛け式標識燈のEF15を見ることができたのはファンにとっては嬉しい限りでした。正面昇降段の取付位置は、一次形と同じ10号機とは異なり、間隔が若干広くなっています。

つらら切りは日立製二次〜四次形独特の丸っこくて大きなタイプで、やはり上部に逃げが付けられています。前燈は原形のLP42用台座を用いて取り付けられています。モニタ上には常磐線列車無線が取り付けられています。また、10号機もそうですが前面窓の両脇下部にかつての手動式ワイパーの取付跡が残っています。避雷器の取付位置は10号機同様パンタ後ろとなっています。

 EF15 35〔東京〕 三菱製
標準タイプの7枚窓の車体になった三菱製二次形。三菱タイプのガラリ形前面通風口がポイント 写真を見る

特徴:
三菱製の二次形で、車体は7枚窓の新しい鋼体となり車体高も標準の3530mmになりました。しかし、デッキや抵抗器室屋根、運転室助士席側の側窓は一次形と同じタイプのままです。また、砂箱も一軸に対し一つで、さらに第3・第4動軸の物だけ三菱製のこのロットのみに見られる小さいタイプになっています。また、前面のガラリ形通風口も川崎の物とは形状が異なり、同様に三菱のこのロットのみに見られる物です。

正面昇降段はこの35号機以降すべてのEF15が5段のタイプになりました。先輪の担いバネと動輪の釣り合い梁を結ぶバネ吊りリンクは丸棒で、それに連結する釣り合い梁も独特の形状となった三菱式で、三菱製のEF15では昭和30年製までこの仕様になっています。

前燈はケースが大きい物で、取付台座はLP42の物が使われています。埋め込み式に改造された標識燈の取付位置は標準よりも若干低くなっています。同機は戦後の財閥解体で登場した中日本重工の製造銘板を持つ事でも有名でした。

 
 


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