昭和21年。第二次世界大戦後に国鉄で最初に製造された旅客用電気機関車です。同時期に製造された貨物用のEF15とは各部が共通設計の兄弟機で、電気機関車として初めてコロ軸受けを採用するなど意欲的な設計でした。
　登場当時は車体の前後にデッキのついた昔ながらの姿で上越線、東海道線を走りましたが、準戦時設計とも言える徹底して省略された機器や戦後の資材状況の悪さから故障が続出し、当初、乗務員からも乗務拒否されるなど毛嫌いされたそうです。
　その後、装備も徐々に改善され、安定した性能を発揮するようになり、東海道線の花形列車「つばめ」「はと」の先頭にも立つようになりました。

　昭和27年に上越線の高崎―長岡間の電化にあわせて登場した35号機より、当時客車への暖房供給に必要だった蒸気発生装置を車体に積む事になり、従来デッキのあった部分まで車体を延長し、同形式ながら流線形の全く新しい車体となりました。また、翌28年より旧車体のものも、随時新車体に交換され、全機が流線型の車体となりました。

　その後の国鉄の電化の進展、日本経済の発展と歩調を合わせ、増備に次ぐ増備で総勢172両という大所帯でした。また、国鉄を代表する「つばめ」「はと」をはじめ、優等列車の牽引機として東海道、山陽、東北、上越などの主要な幹線で活躍しました。

　しかし、時代の変化で旅客列車が客車から電車中心になり、更に新幹線が登場するようになって徐々に昼間の優等列車の牽引の場が少なくなり、寝台特急、寝台急行や荷物列車の牽引が中心になっていきます。それに追い打ちをかけるように、より高性能で手間のかからない新型機の登場と、長年の酷使による老朽化から廃車が進み、登場から４０年経った昭和６１年３月、紀勢線での運用を最後に定期列車の牽引から離脱。事実上の引退となりました。ちなみにそれはＪＲ発足のちょうど１年前のことでした。

　製造期間が約12年と長かったことや、走行線区の広さ、その後の改造などで同形式ながら様々なバリエーションがありました。

以下は私の個人的な意見です。

１．車体が長い
とにかく、長いです。実機を見れば納得いただけると思うのですが、19mと標準的な電車や客車の車体長（20m）とほぼ同じ長さです。貴婦人！

２．優雅な車体
正面にクロムメッキのひげをつけ、車体の前後を絞った流線型のボディ。このひげはその後の新型電機に受け継がれました。

３．無骨な足周り
優雅な車体とは対照的な、蒸気機関車や戦前の省型電気から引き継いだ先台車付きの無骨な足周り。

４．個性に富んだ外観
設計段階の仕様変更やその後の改造などで実に豊富なバリエーションがあり、趣味的な興味が尽きませんでした。これについては、「ＥＦ５８各機の紹介」ページをご覧いただければご理解いただけるかと…。

既に誕生から50年以上を経過し、そのほとんどが国鉄がＪＲへと移行する前に廃車、解体されたＥＦ５８ですが、そんな中で、現在でもイベント列車の牽引を中心に活躍を続ける幸運な仲間もいます。詳しくはこちらへどうぞ。